2017年06月30日
工藤 崇

日本版超高性能GPSで、不動産業はこんなに変わる!

工藤 崇

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6月1日、日本版GPSの構築を目指す準天頂衛星「みちびき」を乗せた大型ロケット「H2A」が打ち上げられた。年内にはあと2機打ち上げられ、誤差6cm以内という世界最高レベルの精度での位置測定ができる体制を整える。この技術が実用化されれば、トラクターの自動運転や、ドローンを使った配達など様々な分野での活躍が期待できる。日本版GPSによって業態が変わるのは、農業や宅配業界だけではない。不動産業界も大きな技術革新の波がやってくるはず、株式会社FP-MYS 工藤崇代表に、日本版GPSによって変化する不動産の売買について予想してもらった(スマイスターMagaZine編集部)。



「みちびき 3 号機」(画像=JAXAプレスリリースより)



街の中を歩いていると、地図を片手に目的地に向かっていく人をすっかり見かけなくなりました。その代わりに皆さんスマートフォンを持って、目的場所の住所を入力して画面を凝視しながら歩いています。10年前には想像できなかったテクノロジーの進歩です。ただ、込み入った裏通りに入ると、2本ほどズレた路地が「現在地」と表示されることがあります。場合によっては10メートル近くの誤差が出てしまうことも。

この「誤差」ですが、来年の今頃には地図を持っていた時代のように、過去のものになっているかもしれません。2017年6月1日、日本版のGPS衛星「みちびき」が打ち上げられました。今回のほかに2017年中に2機が打ち上げられる計画です。2010年に打ち上げられた初号機を含めた4機の体制が整い次第、2018年の春にも日本版GPS実用化される予定です。みちびきが本格稼働すると、精度の誤差は数センチまで縮小するといわれています。

これにより、産業界に様々な技術革新が起きるといわれています。ドローンを飛ばして目的地へ宅配物を運ぶ技術や、火山活動の見地などこれまで不可能な場所に乗り込んでの撮影技術も可能になるでしょう。災害時に不明者の捜索などにも効果を発揮することが期待されます。それは、不動産業界においても斬新な活用が期待されています。



みちびきが変える不動産業界

不動産の常識や慣習に対し、テクノロジーを活用して革新的なサービスを導入することを「不動産テック」といいます。不動産の英語(RealEstate)から、「Retech(リーテック)」という場合もあります。

いまだ紙媒体でのやり取りが中心の不動産業界では、2017年秋からまず重要事項説明書がオンライン化される見込みとなりました。では、今回の日本版GPSによってどのような変化が考えるのか。5年後に物件購入を検討するAさんの動きから考えてみましょう。


GPS活用による、AR(拡張現実)を使った不動産内見    

Aさんは「(会社に通う最寄り駅からの)通勤路を歩いて物件を見たい」という希望を不動産会社の担当者に伝えました。すると担当者はタブレットを貸与します。Aさんが物件の最寄り駅に立ち、タブレットのボタンを一つ押すと、カメラを通して目の前が映し出されました。では、歩いて物件に向かってみましょう。

歩き出すと診療所がありました。日本版GPSによって即位されているタブレットには、町の物件情報や場所が寸分たがわず映し出されています。画面を覗くと診療所の診療時間や、対応課目、利用者の「口コミ」など表示されます。この画面はAR(拡張現実)としてリアルの映像と様々なデータを同じ画面で映し出します。

物件に着いて鍵を開けると、タブレットの画面も部屋の中に自動的に変わります。Aさんの奥様がタブレットを持ってキッチンへ近づくと、システムキッチンの機能やグレードアップしたときの設置料金が自動的に映し出されます。Aさんの奥様は収納の追加を希望すると、待機していた不動産会社の職員がその場で注文。1カ月後の入居日まで(既存の設備と)交換が可能という情報がすぐAさんにも伝えられました。

現在30歳のAさんが社会人に成りたての時に家を借りたことがありますが、ひとつずつ不動産会社の職員がインターネットを調べ、どこかへ電話をして得る情報がすべてタブレットからリアルタイムに届きます。すでにこのスピードが「当たり前」です。

帰り道はタブレットのボタンを押すと、画面の道中は真っ暗に。そう、同じ道の深夜の状況をあらかじめ撮影してあり、映し出しているのです。通勤路は学校に通う小さな子ども達が通う道でもあります。昼は明るく人通りの多い場所でも、夜になれば街灯が少なく薄暗い道も少なくはありません。Aさんはその通勤路が夜も比較的明るく、交番や夜も明るいスーパーがあることを確認し、その物件の購入を決めたのでした。

今回Aさんは実際の通勤路を見たいという希望があり、実際に現地を歩きました。ただ、Aさんが現地に赴かなくても、自宅や不動産会社にいながらドローンを走らせて物件への道中や内見をすることができます。利用者の需要に応じて、GPSの技術は様々な利用局面を提供することができます。




(画像=写真AC)



「便利になる」一方で不動産業界が気をつけなければいけないこと

このように従来は営業マンが担っていた部分がテクノロジーの力で代替されることによって、大規模な「省人化」が不動産業界に訪れます。現在の不動産仲介は業界の人件費も含まれているため、省人化によって宅建業法にもとづく手数料が緩和されたり、物件価格が低くなったりといった購入者へのメリットも考えられます。

GPSにもとづく様々なサービスが導入されると、同時に問題となることもあります。ひとつはプライバシーの問題です。前項の通勤路にいた人は偶然に顔が映ることがありますが、同意を取っていない以上その映像をサービスで使用する際は「顔をぼかす」などの配慮をしなければなりません。実際に現在、Googleマップでは写り込んだ利用者の表情がわからなくなっています。

不動産業界もこのような「プライバシーの配慮」が求められます。ところが、省人化を目的として導入した企業のなかには、「折角コストを下げるためにGPSの活用を決めたため、プライバシーの配慮は後回し」という企業が生まれます。企業ごとに倫理観が求められるほかに、協会などによる全体的な管理監督も求められるでしょう。社会問題になる可能性がある場合は、法律による対応の必要性も生まれます。

とはいえ、本来の不動産テックは売買や貸借に関わる消費者に利便性と満足感を寄与するためのもの。高性能のGPSによる斬新なサービスを次々と生み出して、不動産業界がより便利になっていくといいですね!


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