夏の風物詩といえば「お化け屋敷」だ。

今なお、各地の遊園地等で不動の人気を誇るアトラクションで、音響やセットのあしらえも本格化しているという。

お化け屋敷の始まりは、江戸時代までさかのぼるらしい。

瓢仙(ひょうせん)という医者が、自宅の庭に作った「大森の化け物茶屋」が最初だ。

番町皿屋敷や百鬼夜行をモチーフに、幽霊や妖怪を思わせる人形を用いて、人々を驚かせた。

現代のように、遊園地などに併設され、娯楽施設としてのお化け屋敷は、兵庫県・宝塚市にあった「宝塚ファミリーランド」が最初だという。

1967年のことで、以降、全国の遊園地では、定番の施設となった。


東京ドームシティアトラクションズ入口 (画像=リビンマガジン編集部撮影)

昔は、飛び出してくるお化けを見て回るだけだったが、今では、趣向を凝らしたお化け屋敷が多い。

ストーリーを持たせ、来場者に指令を出すなど、より娯楽施設として進化している。

実際にお化け屋敷へ行ってみよう。

東京ドームシティアトラクションズ(東京都文京区)で開催されている、夏季限定お化け屋敷『恐怖の首すじ理髪店』は、日本で唯一人のお化け屋敷プロデューサである五味弘文氏が手掛けたものだ。


『恐怖の首すじ理髪店』の看板 (画像=リビンマガジン編集部撮影)


昭和の雰囲気が漂う理髪店を舞台にしている。

首飾りに執着する理髪師を描いた世界観であるため、参加者には「首飾りを付けて入る」という演出を加え、より設定に入り込ませるようになっている。

建物は細かく作り込まれており、赤、青、白が回転するサインポールが置いてあり、大量の練習用マネキンがさらに不気味さを掻き立てる。入場前から嫌な感じだ。


早速、入ります (画像=リビンマガジン編集部撮影)

入ってみると……、怖かった。

所要時間は5分ほどだが、仕掛けが豊富だった。

室内は入り組んでおり、理髪店としての形をしっかりと残していた。

イスやシャンプー台が精巧に作られており、リアルで、より恐怖心が煽られた。

暗闇の中を歩く怖さもあるが、現実で見慣れている光景が舞台になっているからこその恐怖もある。

お化け屋敷が苦手な筆者は、途中で腰を抜かしてしまった。


5分とは思えないほど、永く感じました (画像=リビンマガジン編集部撮影)

夏季だけでなく、年中、営業しているお化け屋敷も多く、演出はさらに進化している。

中には、数時間待ちのものもあるらしい。

人間はどうして恐怖を感じに行きたくなるのだろうか。

五味弘文氏がインタビューでこう語っている。

「人は、楽しいものを、積極的に楽しもうとするじゃないですか。でも、お化け屋敷は、怖がりに行っているのに、中に入ると、怖がらないぞっておもいますよね。

この平静を保とうとする、“逆”の感じが、他には得られない楽しさなんだと思います」(GYAO!のインタビューより)

恐怖を我慢する行為が、快感に繋がっているのかもしれない。

今回のお化け屋敷では、我慢することなく叫び続けた。

しばらく、髪が切れないかもしれない。


(N)

 
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