毎日新聞の人気連載・西原理恵子さんによる漫画「毎日かあさん」が、6月26日に最終回を迎えた。15年にわたる長期連載だった。シングルマザー漫画家として、仕事と子育てに奮闘するさまを爆笑ものの漫画に仕立て、多くの働く女性を励ました。西原さんは今回の連載終了にあたって「卒母(そつはは)」を宣言。2人のお子さんはそれぞれの道を歩き始め、金銭的な事以外でのサポートは必要なくなったとのこと。では、子どもが独り立ちした「卒母」世代の住まいとはどういったものなのだろうか?自身も来年卒母をする予定のFP 正田きよ子氏に聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)

毎日新聞で連載していた「毎日かあさん」 (撮影=リビンマガジンBiz編集部)

私も卒母します!まずはお金のシミュレーションが大事!

来春、下の子どもが大学生になるのを機に、私も「卒母」することにしました。
大学生の子どもたちは東京で一人暮らしや寮生活です。今の住まい(東京23区内築浅戸建て)は賃貸に出します。夫婦で大阪の賃貸マンションに住み替え予定です。

大阪は夫の故郷、以前からいつかは大阪に帰ることを熱望していました。
とはいえ問題も山積みです。持ち家の住宅ローンや、子どもたちの学費など、卒母にあたり気になるのはやはりお金のことでした。

今の住まいを賃貸に出したときの相場を調べたところ25万円~30万円という結果でした。仮にちょっと低めに23万円で貸せたとして、お金の流れを計算してみました。

■今の住まいからの収入
賃料:23万円/月×12ヶ月=276万円/年
■今の住まいの支出
固定資産税、都市計画税等:10万円/年(建物のみ)
住宅ローンの返済:7.5万円/月×12ヶ月=90万円/年
■収支
276万円‐10万円‐90万円=176万円/年
予定通り貸すことができれば、子どもの学費や、生活費の一部に充てるお金が作れそうです。

夫婦で住み替える大阪は、東京に比べて賃料が低めです。現在いいと思っている物件は、大阪市営地下鉄沿線の駅から徒歩5分以内で、70㎡以上マンション、賃料は12万円ほど。大阪の中心地梅田まで15分ぐらいで、周辺には飲食店や、スーパーなどもあり、自動車を持たずに生活できる環境です。東京都内に住むという選択肢を捨てると、住居費がこんなにも抑えられるなんて、とても驚きです。

(画像=写真AC)

我が家の場合、夫婦ともにフリーランスのため、夫の生まれ故郷、大阪に拠点を移し、必要に応じて東京に出張するという形で働き続けることが可能です。
一般企業にお勤めだと、住居費が抑えるために転居をするのは難しいかもしれません。転居を伴う卒母をするとしたら、教育費がかからなくなる一番下の子が社会人になって以降となるでしょうか。
35歳で出産していると、順調にいけば60歳前に子どもが社会人になる計算です。

卒母のすすめ

一卵性母子といった言葉や、親向けの就職説明会、親主導の婚活など、近ごろは子離れできない親が目立っています。大事な子どもに苦労させたくないという歪んだ親心が、逆に子どもの自立を阻害しているのではないでしょうか。
子どもには子どもの人生があり、親だって子育てだけが人生ではありません。卒母して、第二の人生を楽しむのも一つの選択肢です。私は卒母したら自分の予定で旅行に行くのを楽しみにしています。子どもがいると、学校の予定などにあわせて旅行に行くことになります。夏休みや年末年始といった限られた時期は、混んでいますしオンシーズンなため料金も高いです。

親子の住む距離が近ければ、お互いに気になってしまうもの。住み替えをして物理的に離れることもよいのでないでしょうか。親世帯が小ぶりな住居に引っ越すことで、子ども達に独立を促し、親世帯も住居費負担が軽減されます。
子どもが独立するタイミングで住み替える流れができれば、中古物件がうまく流通し、不動産業界が活性化するのではないでしょうか。

西原理恵子さんが、「卒母」宣言をしたところ、お子さんがまだ16歳なので早すぎるのではないかといった批判的な声もあったようです。私も、親戚、友人から同じようなことを言われたことがあります。しかし「卒母」を決めた私だって、寂しいと感じますし、当然子ども達のことが心配です。親の私が、第二の人生を生き活きと悔いなく楽しむことで、きっと子ども達も自らの足で人生を切り開いていける大人になれると思っています。

 
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