はじめまして。不動産学部教員の周藤です。
「不動産」は、文字通り、動かないモノですから、domestic(国内)な分野の代表格と思われがちですが、そんなことは全然ありません。
実務の分野では、日本の投資家が海外の不動産に投資したり、日本企業が海外に進出したり、また、当然のことながら、その逆に海外からの日本の不動産市場への参加も活発化しているのは、皆さん、ご承知のとおりです。
そして、不動産学の分野でも、比較研究や国際シンポジウムなどグローバルな研究や学術交流は盛んに行われています。
さらに、行政の分野でも、不動産登記や不動産鑑定・評価といった日本の不動産に関する法制度を国際協力という形で発展途上国に移植する活動も精力的に行われています。
私もその一端を担ってと申し上げるほどのことはしていませんが、ささやかながら国際活動に努めていますので、ここで紹介させていただきます。
国際研究(その1)
獨協大学法学部成嶋隆教授・同学部小柳春一郎教授と共に、科学研究費助成事業研究として平成27~29年度の3年間にわたり、「フランス法における「契約締結と平等取扱い」:民法の憲法化の理論的解明」というテーマで研究を進めています。
私は不動産の売買契約や賃貸借契約において特定の相手方を拒否する自由や、逆に、特定の相手方を拒否してはならない義務について、日本、米国、ドイツ、韓国などを対象として、基本的な考え方と実務上の取扱いに関する比較研究を進めています。
その成果は、成嶋先生・小柳先生の研究成果と合わせて書籍として出版する予定です。
国際研究(その2)
日本マンション学会の国際交流委員長を務めています。
昨年9月、学会長の梶浦恒男先生、早稲田大学鎌野邦樹教授、神奈川大学角田光隆教授らと韓国を訪問しました。そして、マンション管理業の大手業者2社におけるインタービュー調査を行うとともに、タイプの異なる3つのマンションを訪問し、管理事務所長や入居者代表会議の代表(日本で言う管理組合理事長)、区分所有者の方に直接インタビューして現地の実情を詳細に把握することができました。
その成果の一部は、マンション管理センターの「月間マンション管理センター通信」2017年2月号に鎌野教授と共著で掲載しました。
さらに詳細な内容は、日本マンション学会の学会誌に掲載予定です。
ソウルのマンション
外国法制研究
韓国の不動産関連法をはじめとする国土交通分野の法令500本以上を翻訳して、一般財団法人土地総合研究所のホームページにアップしています。
(ダウンロードは無料かつ自由ですが、転載・引用される場合には、その旨注記をお願いします。)
外国市場研究
諸外国の不動産市場に関する研究を進めており、日本不動産学会誌などに発表していますが、特に、韓国と中国の不動産市場の制度と動向に関する研究成果を一般財団法人不動産適正取引推進機構のホームページにアップしています。
(ダウンロードは無料かつ自由ですが、転載・引用される場合には、その旨注記をお願いします。)
海外講演
昨年10月、台湾政府の内政部の招待を受けて、台北で開催された2016台日賃貸住宅シンポジウムとワークショップに参加しました。
10月3日のシンポジウムでは、「日本の賃貸住宅政策:歴史と現在の状況」というテーマで講演を行い、翌日のワークショップでは日本の制度や実態を紹介しつつ、台湾における賃貸住宅政策の進展のためにアドバイスを行いました。
2016台日賃貸住宅シンポジウム
JICAプロジェクトへの協力
独立行政法人国際協力機構(JICA)の負担により政策研究大学院大学(GRIPS)が実施している政策連携強化プログラム(Strategic Policy Research and Innovation Program)に協力しています。
ベトナム資源環境省土地管理総局の課長に対し、日本の土地政策・都市政策などを2年間かけて講義しています。
講義の様子
中国清華大学学生の受け入れ
明海大学不動産学部では、平成27年度より科学技術振興機構の「さくらサイエンスプロジェクト」に参加し、清華大学の学生を受け入れる事業を行っています。
これまで3回の受け入れ実績がありますが、最近では、本年2月、「国土と技術~環境に配慮した持続可能な国土づくり」をテーマとして、清華大学の経営管理学院、社会科学学院、美術学院、建築学院の大学院生、学部生、教員の計10名を招へいし、博士課程3年の麻剣英君の協力を得て実施しました。
このうち、中城康彦不動産学部長主催の夕食会では、他学部も含めた明海大学の教職員や学生との交流も行われ、楽しい時間を共有することができました。
私たちの交流の第一の特徴は、講義と現地見学を組み合わせることにより、日本の最先端の国土づくりについて、理論と実践の両面をきちんと理解してもらえるようにプログラム内容をセッティングしていることです。
第二の特徴は、国土づくりは他の分野にも増して産学官の連携が重要であることから、訪問先も産学官を組み合わせる工夫をしていることです。
おかげさまで参加した清華大学の学生からは非常に満足したとの評価をいただきました。
これまでの成果については、科学技術振興機構のホームページ(さくらサイエンスのフェイスブック)に掲載されています。
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最後までご覧下さり、誠にありがとうございました。
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