さて、前回は空き家問題が社会問題になった経緯とともに、新しい法規制の目的をみてきましたが、ここではその法規制を踏まえて今後はどのような所有リスクがあるかを考えてみることにします。

 今後は、空き家を維持することでこんなリスクが・・

 

 平成27年に制定された特措法は、翌28年に2回に分けて施行され、同年5月の施行をもって完全施行となりました。
 この完全施行による空き家規制のうち代表的なものを挙げるとすれば、①行政指導の強化、②行政代執行権限の付与、③固定資産税に係る税制優遇措置の除外、があります。

 具体的に①は、助言・指導・勧告・命令のように行政指導に段階を設定し、加えて、これまで認められていなかった立入調査権限を与えたことで指導の実効性がより確保されることになるわけです。
 また、指導内容が改善されない場合には勧告、これに従った措置がとられなければ命令、さらには②行政代執行へとつながり、特にこの代執行による建物の除却(取壊し)といった段階まで認められた意義は極めて大きいと言えます。
 そして、この代執行は所有者に代わって行われるもので費用は所有者負担となることから、所有者に予期しない形で一つの経済的リスクを課した、ということができます。
 さらに、③固定資産税の特例である税制優遇措置から除外されたことで、これまでの住宅用地の特例による固定資産税の減額は認められない扱いになりました。これにより、今後は空き家を維持するだけでも所有者に経済的負担がボディーブローのように効いてくるわけですから、これももう一つの経済的リスクを課した、と捉えることができるのです。

 とかく日本人は他人に迷惑をかけることを好まない気質が強いと言われます。
 しかし、不動産をどういう形で所有し続けるかの自由もまた所有権の内容なのですから、空き家対策としてこれまでのような所有者への「お願い」や「任意の改善」を期待するだけでは到底足りなかったわけで、結局かなり以前から今回のような明確な「規制」が求められていたのかもしれません。
 今後、都心への人口集中やこれに伴う地方の過疎化・高齢化が進む中で、これまで空き家予備軍だった家屋の空き家化がますます表面化して行くことが予想されます。
 そのような過渡期に、法律がこうして空き家の維持に明確な規制を課したことで、今後は空き家問題がより改善され不動産の有効利用が促進されていく、という道筋ができることが望まれるところです。

 
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