2017年03月27日
湊 恭平

法人設立の有用性と不動産売却時の実効性①

湊 恭平

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法人の設立にあたって

 

 春は年度の変わり目、新しい事業や新組織で船出しやすい季節です。この春、法人の新規設立や従来の個人事業からの法人成りを検討中の方も多いかと思います。
 私が個人的に株式会社を設立したのは今から2年ほど前で、当時は会社設立が真に自身の不動産事業に有用かどうか、かなりの期間検討を重ねました。結果、現在では税務上の恩恵をはじめ、あらゆる情報や経験を得るなど大変満足な結果を得ています。


 本稿では、これらの体験を踏まえ、法人設立の有用性はどこにあるか、また、不動産売却の場面で法人設立の効果がどう発揮されるか、の2つのテーマでみていきたいと思います。


法人設立の有用性

 

 法人設立が自身にとって有用かどうかを一般的に判定することは困難です。その理由は、その人自身の年収や活動内容等の属性の差が影響するからです。
 そこで、法人設立が有効かどうかは次の判断基準で考えて行くことが得策であると考えられます。
 まず、①法人(会社形態)にすることによる一般的なメリットをいくつか挙げる、②次に、法人設立による想定しうるコストを見積もる、最後に、③自身の年収や法人の活動規模・想定される利益をベースにしたコスト削減効果を計算、③が②を恒常的に上回る見込みであれば、①の恩恵を考慮して設立に踏み切る、という考え方です。


具体的思考と検討

 

 法人設立のメリット・デメリットは、昨今あらゆる媒体で取り上げられておりますが、代表的な視点に沿って、上記①―③を具体的にみて行きましょう。

 ①で一般的にいわれるのは、例えば株式会社としての信用が付与されることです。この信用という点は個人事業としての活動に比較しても大きく、これにより融資の受け易さや従業員の募集のし易さ等をもたらし、事業規模の拡大につながります。
 また、個人事業とは異なり、新たに法人という組織を動かす先導者となることで、事業運営の意欲や動機付けは一段と高まるでしょう。

 ②で真っ先に浮かぶのが、法人設立費用です。これは株式会社を例にしても最低でも20万円(登録免許税+公証人の定款認証手数料)ほどの費用が必要です。
 次に②では赤字でも納付する必要の生じる法人住民税の均等割があります。内訳としては、最低規模でも県民税と市民税で合計7万円ほどが掛かってきます。
 また、②では毎年度の法人の決算や法人税の申告作業が必要となるため税理士への支払い報酬という費用も見込まれます。
 さらに、法人の取締役報酬を支給するに当たり社会保険の加入義務があることも考慮すべきです。
 これらが、法人のランニングコストとして一つ一つ検討すべき事項になります。
 
 ③からは、各人の属性が決め手になることを前提に、一般的には個人事業による利益が概ね年間700万円から800万円の水準に達する場合には、法人化した方が有利であるとされています。
 これは個人の所得税率が5-55%の間で増えていく現行の累進課税制度の中で、一般的に分岐とされやすい基準です。この仕組みはやや複雑ですが、結局は法人が個人とは別人として収入を得るという構造に由来するものです。
 まず、法人税は法人の利益に対してなされる課税ですが、これは自身の役員報酬を含めたあらゆる経費を差し引いた部分に掛かる税率です。 
 そして、この役員報酬に給与所得の控除が認められるばかりか、自身の家族を役員にして報酬を支払うことにより所得の分散効果を図ることも可能になっています。
 こうした構造を通じて所得の再分配を行えるのが法人の強みであり、これは収入から経費を除いた利益全体にそのまま累進課税がなされる個人に比して、税務上のアドバンテージとなるのです。
 
 以上みてきたように、各人の属性毎に法人の設立により節税効果が生じる分岐点が存在するため、その見極めが必要です。
 また、これ以外にも9年間の損失繰越が可能な点や、設立後2期の消費税の免除など他の法人メリットも存在するため、法人設立を検討する際にはあらゆる効果を考慮することが望ましいでしょう。

 

 次稿では、不動産売却という場面で法人がどのように効果を発揮するか、みていきたいと思います。

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