毎週月曜配信「石井くるみの みんぱく!最前線」
鎌倉での民泊開業の依頼を受けた、カピバラ好き行政書士 石井くるみさん。今回は神奈川県独自の民泊開業のためのルールをご紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)

以前訪れた鎌倉に続き、2回目の鎌倉です。今回は戸建ての民泊開業に関する依頼を受けました。

みなさまは夏休みの予定は計画されていますか?
海に行こうか、山に行こうか、迷ってしまいますね。

海も山も一度に楽しめる観光地・鎌倉は、海外からの旅行者だけでなく、国内旅行でも大変人気があり、季節を問わず多くの観光客でにぎわっています。

先日、ゲストハウスの旅館業申請手続きの依頼を受け、電車で鎌倉まで行ってきました
その日はよく晴れて、痛いほど眩しい陽射しが降り注いでいました。

申請物件は、湘南の海を目の前に臨み、江ノ電の駅から近い非常に好立地にある戸建てです。

業務を投げ出して、このまま海に飛び込みたい暑さです(笑)


(撮影=石井くるみ行政書士)

本日の業務は、物件の「現地調査」と保健所への「距離証明願」の提出です。

現地調査では、
①    建物の外観と施設内部の確認
旅館業の許可基準を満たすための構造設備が整っているかをチェックします。
不足するものは工事などで充足
②    客室や窓の採寸
申請で必要となる平面図面作成のため
③    消防設備会社やリフォーム会社と、内装消防設備工事の打ち合わせとスケジュール確認
などを行います。

今回の物件は、ごくごく普通の2階建ての一軒家です。依頼者は最近この物件を購入されました。前の所有者が家を建築した後に、いろいろと手を加えたようで、許可申請には余計なものが色々と付属していていたので、その撤去作業が発生します。

また、普通の住宅なので玄関帳場(フロント)はありません。その設置のプランも依頼者の意向をヒアリングしつつ計画していきます。

宿泊施設の運営を行う運営会社も同席していたので、開業スケジュールと運営体制の打ち合わせなどについても話し合いました。

現地調査の後は、鎌倉保健福祉事務所へ距離証明願の提出をします。


(撮影=石井くるみ行政書士)


(撮影=石井くるみ行政書士)

鎌倉保健福祉事務所の建物は、小学校の校舎を連想させます。
「距離証明願」の手続きは、東京の旅館業申請にはない、神奈川独特の手続きです。

新しく建築物を建て旅館業を営業する場合や、既存の建築物の用途(旅館業以外)を変更
して旅館業を営業する場合、営業許可申請の手続前に「距離証明」の手続きを完了することが必要です。「距離証明」とは、旅館業を営業する施設から付近の学校がどれぐらい離れているかを計測するものです。付近に学校等がある場合は、『施設環境が著しく害されるおそれの有無』について所管の機関等への意見照会を行うので手続きに時間がかかります

東京でも類似の手続き(社会教育施設等への意見照会)はありますが、旅館業営業許可申請の手続後に近隣への意見照会の手続きを行います。

東京の場合、相談者から「リフォームや消防工事もすべて行ったうえで旅館業申請するため、最後の意見照会で許可が下りなかったらと思うと心配です」という心配の声をよくいただきます。

私の経験上、意見照会で不許可になったことはなく、通常の宿泊施設を営業しようとするのであれば(ラブホテル使用等が目的ではない)心配する必要はありません。しかし、神奈川県の様に、申請前に意見照会を行う方が互いにとって合理的だと思います。

書類には不備もなく、無事に受理されて一安心です。
今回は照会施設が2件もあるので、多少(1~2カ月)時間がかかりそうです。

手続きを終えると、ちょうど17時の閉庁時間
昼の暑さが多少和らぎ、ますます多くの観光客でにぎわう鎌倉を後にしたのでした。

 
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