毎週月曜配信「石井くるみの 民泊最前線」

カピバラ好き行政書士 石井くるみさんに民泊の最新情報を紹介してもらいます。(リビンマガジンBiz編集部)


(画像=写真AC)

住宅宿泊事業法の成立を機に、新たに民泊事業への参入を考えておられる方も多いことでしょう。本日は、私の事務所に寄せられた相談事例等を踏まえ、民泊事業のリスクやトラブルとその対処法について解説いたします。


■住宅宿泊事業者


住宅宿泊事業者は、「家主居住型(ホームステイタイプ)」と「家主不在型」の大きく2つに分類されます。

家主居住型の場合、同建物内に管理者(オーナー)が滞在し、宿泊者とのコミュニケーションが図られるため、マナーや騒音問題など、大きな近隣住民トラブルに発展しにくいと考えられます。

他方、家主不在型の場合は、オーナー不在のため適切な監視が図られず、近隣トラブルが発生しやすいと考えられます。また、宿泊者も慣れない環境(特に外国人旅行者など)で不便を感じる事態も想定されます。したがって、適切な住宅宿泊事業を担保するために国土交通省に登録済の住宅宿泊管理業者が責任を持って管理にあたる仕組みが取られています。

住宅宿泊事業者は、数ある事業者の中から適切な管理業者を選定しなくてはなりません(自らが管理業登録をすることも可能)。選定にあたっては委託手数料だけではなく、具体的な業務内容、方法、ノウハウ、実績など、信頼に足る事業者かどうか慎重に見極める必要があります。

弊事務所が、2017年夏、民泊ホストを対象に行った運営代行会社アンケート調査結果では、①担当者、②集客力、③財務報告、④料金設定、⑤全体満足度、⑥推奨度について5段階評価を行ったところ、平均総合評価が最低尾の1.0という代行会社が全体の25%を占めました。特に「清掃」に関する不満は、施設のレビューに大きく影響するため、サービスの質が最重要ポイントです。

■住宅宿泊管理業者


住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業者から委託を受け、現地にて施設運営業務を行います。想定されるトラブルは、「対宿泊者」と「対近隣住民」の大きく2つです。

宿泊者とのトラブルは、No Show(無断キャンセル)や器物損壊、盗難など悪質なものもありますが、多くを占めるのは「鍵の開け方が分からない」「道に迷った」「設備の使用方法がわからない」など一般的な質問事項です。そういったトラブルは、事前説明や施設内にハウスマニュアルを備えつけるなどにより回避可能です。悪質なものについては、予めキャンセルポリシーや違約・損害賠償請求の指針を定め、申込者の了承を得た上で宿泊契約を結ぶなど法的措置を整えておきましょう。

民泊に関して近隣住民から寄せられる苦情の上位は「セキュリティ問題」、「騒音問題」、「ゴミ問題」です。住宅宿泊管理業者にはこれらの問題を起こさないための工夫と管理体制が求められます。宿泊者には騒音を立てないよう事前に説明し、部屋の騒音をWEBやアプリで沿革的に把握するIOT機器の導入など検討することがすすめられます。ゴミについては、施設内の分別方法をハウスマニュアルなどで説明し、施設外への持ち出しは、管理業者が事業系の廃棄物として適切に処理するようにしましょう。

事業の継続には、日々の業務に対する真摯な姿勢が重要です。宿泊事業はサービス業としての特色が強い分野のため、人員確保と安定した対応体制を整えましょう。

 
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