石井くるみの民泊最前線

6月15日より、全国的に民泊営業を解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されました。しかし、その直前6月7日には民泊仲介大手『Airbnb』が行政への届け出がない物件への予約取り消しを強行。突然の行動に、大きな混乱がおきました。一般メディアでも大きく報じられたこの「Airbnbの予約取り消し騒動」の背景について解説していただきます。(リビンマガジンBiz編集部)

(画像=Pixabay)

6月に入り、民泊仲介大手『Airbnb』が許可・届出番号の未入力民泊物件の掲載削除・予約の強制キャンセルを実行しました。日本全国で利用可能な民泊物件が大幅に減少し、民泊事業を営むホストだけではなく、宿泊利用するゲストの間でも混乱が続いています。

観光庁は昨年12月、複数の民泊仲介サイト宛に、掲載物件のうち、旅館業法の許可や住宅宿泊事業の届出等、適正な手続きが行われていない物件について、住宅宿泊事業法施行日までにサイト上から削除するよう通知しました。これを受け、Airbnbは民泊ホストに対して、掲載民泊物件の届出番号許可番号の登録を求めてきました。

しかし、今年5月になるとAirbnbに物件を掲載する日本居住ホストとの契約法人を、6月14日0時以降に確定した予約分から、従来のAirbnb Ireland UCではなく、Airbnb Global Services Limitedを契約法人とすることを明らかにしました。民泊新法が施行される直前での変更のため、民泊ホストの中には法施行日以降も無許可・無届けのまま営業を継続することができるのではないか、と考えた人が少なくありません。

この処置に対して、危機感を持った観光庁は、旅館業法などの必要な許可を取得せずに運営されている民泊ですでに宿泊予約が入っているものについて、宿泊予約の取り消しや適法民泊・正規のホテル・旅館への斡旋を求める通知を6月1日に発出しました。これが事の経緯です。

通知の概要は以下の通りです。

通知の概要

1.法の施行日後における違法物件に係る予約については、順次、当該予約の取消や合法物件への予約の変更等の適切な対応を進めること。

2.法施行日前においても、法に基づく届出を行う予定がない場合等には、すみやかに今後の予約の取消を行うことを推奨することや、宿泊予定者等に対する合法物件への予約の変更を推奨すること。

3.現時点において法に基づく届出等のない物件に係る新規の予約は行われないようにすること。

4.予約の取消等を行った宿泊予定者に対して、当該宿泊予定者に合法物件のあっせん等が必要な場合は観光庁が必要な協力を行うので、適宜相談すること。

住宅宿泊事業法第58条において、住宅宿泊仲介業者は違法行為のあっせんが禁止されており、旅館業法違反である無許可・無届の民泊施設の宿泊の仲介を行うことは、法第58条に抵触します。

>>2ページ目:住宅宿泊事業法第58条の解説 Airbnbが行ったサポートとは

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ