石井くるみの民泊最前線

カピバラ好き行政書士 石井くるみさんが民泊を始めとした宿泊関連ビジネスの最新情報を紹介します。災害と民泊ビジネスについて考えます。(リビンマガジンBiz編集部)

画像=写真AC

2019年9月9日未明から夜明けにかけて関東を直撃した台風15号は、各地に甚大な被害をもたらしました。特に深刻なのが、千葉県を中心に長期的に続いた大規模停電です。台風が上陸した千葉県内の停電は、9日午前8時のピーク時に約64万軒に及び、自然災害では東日本大震災以降で最大でした。台風一過の酷暑にも見舞われる中、一部ではポンプの停止に伴う断水なども起き、市民生活にも命にかかわる大きな影響が及びました。原稿執筆時点でも、停電が続く世帯もあり、一刻も早い復旧が望まれています。

この影響により、千葉県を中心に停電しているエリアのホテルでは水と電気が利用できない状況となり、新規予約の受付を一時休止するなどの対応を迫られました。

個人の住宅を活用した民泊施設においても、当然営業に支障が出ています。中長期的な影響を含めた被害の全容は不明ですが、千葉県で民泊を営業しているホストや運営会社に事情を聞いたところ、「停電のため宿泊可能な状況ではないので予約はすべてキャンセルした」「隣地の物置が倒れて窓ガラスが損壊した」「暴風により塀が崩れてしまった」などの対応でてんやわんやの状態です。

ホストも大変ですが、海外旅行先で被災した外国人旅行客も気の毒です。近年は現金を持たず電子決済システムを利用して旅行する人も増えているようですが、2018年の北海道の震災時に、小規模な民泊施設では大規模施設のような非常用電源がないので携帯の充電がなくなり困ったという話も耳にしました。災害時の水や食料等の備蓄が用意できているか、民泊運営をしている営業者は、今回の台風を機に災害対策を見直す必要があるようです。

東京オリンピック開催の2020年には訪日外国人旅行者数を4000万人、2030年には6000万人まで引き上げる目標を掲げる政府は、このような災害時に旅行者の安全を確保することが重要な課題です。

次のページ:訪日外国人向けの災害対策は大きな政府課題

 
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