イベント民泊とは、「年 1 回(2~3日程度)の公共性の高いイベント開催時であって、宿泊施設の不足が見込まれることにより、開催地の自治体の要請等により民泊として自宅を提供するもの」です。

イベント民泊は住宅を宿泊客に有償で提供しますが、反復継続性がないため、旅館業法の許可は不要となるのが大きな特徴です。

日本で最初のイベント民泊は、2015年12月、福岡市が嵐とEXILEのクリスマスコンサート公演期間中の5日間に実施しました。2016年は、沖縄県沖縄市がプロ野球の広島東洋カープの沖縄キャンプ中に10日間、青森県五所川原市がたちねぶた期間中に7日間にわたってイベント民泊を実施しました。恒例の祭りやマラソン大会など、イベント民泊は、徐々に全国で広がりを見せています。

過去に行われたイベント民泊の中に、期間が事務連絡に定められる「2~3日程度」を超えるものもありますが、この日数はあくまで目安であり、イベント開催期間が3日を超える場合であっても、自治体の判断によって旅館業法が適用されないイベント民泊として取り扱うことができます。

そして、今回「イベント民泊」に取り組む熊本県は、ラグビーワールドカップ(W杯)と直前の大型イベントを対象に観光客の宿を確保しようと、今年6月からイベント民泊の募集を始めました。熊本県内で予定されるラグビーの試合は、10月6日の「フランス対トンガ」戦、13日の「ウェールズ対ウルグアイ」戦の2試合です。そして、ラグビー試合前後のイベントとして各地の祭りが集まる「祭りアイランド九州」が開かれる9月28、29日の前日と当日も合わせた計7日間で、周辺ホテルの客室が延べ4千人分不足すると県は試算しており、イベント民泊を活用することで混雑緩和に役立てたい考えです。

県の募集案では(1)熊本市と近隣自治体にある民家が対象(空き家不可)(2)宿泊料は提供者が自由に設定(3)飲食業の許可がないと食事は提供できないなど、一定のルールを定めています。

イベント民泊は、あくまで一過性の受入れにすぎませんが、旅行者の受入れを体験することで、その後も継続的に旅行者の宿泊を受入れる住宅宿泊事業や旅館業にステップアップするきっかけに繋がることも予想されています。「習うより慣れろ」と諺にある通り、イベント民泊をきっかけに地域に民泊の輪が広がっていくことが期待されます。

来年の東京五輪において、果たして東京で「イベント民泊」が開催されるのかどうかも気になりますね。今後も「イベント民泊」に注目していきたいと思います。

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