2021年01月11日
石井くるみの民泊最前線

2021年の宿泊事業はどうなる?不動産投資信託(J-REIT)から読み解く宿泊事業

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2021年の宿泊事業はどうなる?不動産投資信託(J-REIT)から読み解く宿泊事業


カピバラ好き行政書士 石井くるみさんが民泊を始めとした宿泊関連ビジネスの最新情報を紹介します。不動産投資信託から宿泊事業の先行きを考えます。(リビンマガジンBiz編集部)


画像=写真AC


例年になく静かに、新しい1年が始まりました。昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、予定していた東京オリンピック・パラリンピックは延期、外出自粛要請から国内外の旅行ニーズは大きく落ち込み、宿泊事業を取り巻く観光産業は大きな打撃を受けました。経済支援策として夏から始まったGOTOトラベル事業は、一定の効果を上げたものの、年末にかけての新型コロナウイルスの感染再拡大の影響で急遽中止を余儀なくされるなど、観光産業を取り巻く厳しい環境は現在も続いています。



激動の只中にある2021年の宿泊事業の先行きは?


新年早々、再び緊急事態宣言の発出が決定されるなど(※執筆時)、先行不透明感は続いていますが、そのヒントを不動産投資信託(REIT)市場から考察しましょう。REIT市場動向からは、ホテルを含む不動産全般の経営戦略を練るための有益なヒントがたくさん隠されています。


REIT投資とは、一言で言うと、「投資法人を通じて行う不動産投資」です。不動産投資を専業で行う「投資法人」が、投資者から集めた自己資金と、銀行等から集めたローンにより不動産投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に配当する仕組みがREIT投資です。投資家は、REITを通じて間接的に様々な不動産のオーナーになり、投資法人が所有する不動産の運用成果を受けることができます。

東京証券取引所(東証)に上場されているREITは「J-REIT」と呼ばれ、J-REITの投資持分(投資口)は上場株式と同様にマーケット(東証)で売買されるため、上場株式と同様に高い流動性を備えています。2021年1月現在、東証には62銘柄のJ-REITが上場されており、各銘柄は、その投資対象とする不動産の種別(アセットクラス)により、「オフィスビルばかりに投資する」など1つのアセットクラスにのみ投資を行う「単一用途特化型」や、「オフィスビル、レジデンス、商業施設など様々なポートフォリオを組んでいる」など2つ以上のアセットクラスに投資を行う「複数用途型」など様々な種類があります。中にはホテル物件のみに投資を行う「ホテルREIT」も存在します。ホテルREITの代表例として、ジャパン・ホテル・リート投資法人、星野リゾート・リート投資法人などが挙げられます。


ホテルREITの価格から分析する宿泊事業の現在と未来


ジャパン・ホテル・リート投資法人は、資産規模3,100億円超の日本最大のホテル特化型J-REITです。代表的な保有不動産は、ヒルトン東京お台場、ホリデイ・イン大阪難波、ヒルトン東京ベイ、オリエンタルホテル東京ベイ等があり、まさに日本のホテル市況を伺うには最適な銘柄と言えるでしょう。



投資口価格の推移を見ると、2020年1月6日の投資口価格は81,600円です。ちょうどその頃、中国武漢でのコロナウイルスの感染が報道され価格下落が始まり、わずか3月後の3月19日には24,700円と-70%も下落しています。





※参照元
ジャパン・ホテル・リート投資法人 |JAPAN-REIT.COM - 全ての投資家のための不動産投信情報ポータル (japan-reit.com)



その後、日本では緊急事態宣言が発令・解除され、政府による観光産業への経済支援策『GOTOトラベル事業』のリリースなどの期待を受けて、現在まで小幅な変動を繰り返しつつ、徐々に回復していますが、2021年1月5日の価格は51,900円でコロナ前の水準に回復はしていません。


価格が変動する一番大きい要因は、投資法人の業績の変化です。通常、業績が良くなれば株価は上がり、業績が悪くなれば株価は下落します。ジャパン・ホテル・リートの業績を見ると、2019年1月1日~12月31日の営業収益は28,279百円、当期純利益15,290百円、1口分配金3,690円となっているところ、2020年1月1日~2020年12月31日の営業収益は13,318百円、当期純利益571百円、1口分配金199円と大きく減少しており、価格下落の状況と比例しています。REITの価格は、その投資持分が欲しい投資家と手放したい投資家の需給により決まるため、「投資家のホテル市場に対する将来への期待」も反映されますが、多くの投資家は、「現在、業績が悪く、将来の回復の見込みも、すぐではないだろう」と考えていると分析されます。


コロナ収束後に、海外旅行希望者に行きたい渡航先については、アジア居住者は日本が1位、欧米居住者も米国に続く2位となっており、また、日本の衛生に対する評価は世界的にも高く、事態収束後の日本は早期にインバウンド旅行が復活する可能性が高いと考えられますが、世界経済は、未だに新型コロナウイルス感染症拡大の大きな影響を受けて厳しい状況が続いています。日本のホテル不動産に対する投資家の評価はREIT市場から読み取ることができ、その価格推移からは、コロナ以前の評価まで回復していません。


もし、保有する民泊・旅館業用の不動産の売却を考える読者は、もう少し事態終息の見通しが立ち、状況が改善してから売却活動に入るのが良いと言えるでしょう。逆に、将来の宿泊事業の回復を見込んで民泊用物件を購入したいと考える投資家は、今は割安に購入可能なチャンスと言えるかもしれません。


コロナショックにより、非対面・非接触型のコミュニケーションツールの導入など、テクノロジーの進化と、その技術導入が一気に進んだことは、プラスの側面として挙げることができます。しばらくは耐える時期が続きますが、今後も明るく前向きに、地道な衛生対策を積み重ねて再生の機会をうかがっていきましょう。


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