2021年02月08日
石井くるみの民泊最前線

住宅宿泊事業法施行(民泊新法)から間もなく3年。規制見直しの提案と民泊の未来

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住宅宿泊事業法(民泊新法)施行から間もなく3年。規制見直しの提案と民泊の未来


カピバラ好き行政書士 石井くるみさんが民泊を始めとした宿泊関連ビジネスの最新情報を紹介します。大きな期待を持ってスタートした民泊新法施行から3年。現状とこれからを考える。(リビンマガジンBiz編集部)




画像=写真AC



来る2021年6月15日、住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)が施行されて3年が経過します。住宅宿泊事業法は、施行後3年後に、制度広がりや民泊の実施状況を踏まえた制度の見直しが行われる予定となっており、今年はまさにその見直しを予定する年です。


しかし、民泊新法施行当時は、恐らく誰一人予想しなかった、昨今のコロナウイルス感染症の拡大による混乱状況の最中において、民泊を取り巻く環境は大きく変化しました。今年、実際に制度見直しが行われるかは不透明ですが、ここに住宅宿泊事業法に基づく民泊制度の見直しに関する筆者の考えを述べたいと思います。



「180日規制」の見直しの是非

住宅宿泊事業法において、180日を上限とする営業日数(いわゆる「180日規制」)を撤廃すべきであるという意見を耳にすることがあります。「なぜ年間180日上限なのか?」という疑問、「もっと営業可能日数を増やしてもらわないと事業として成り立たない」といった不満が背景にあるようです。


しかし、筆者は、関係諸法令との整合性を図る観点から、安易にこの180日規制は撤廃するべきではないと考えています。


我が国において、本来「宿泊サービス」を提供するためには、旅館業法に基づく許可を受ける必要があるとされています。民泊が営まれる「住宅」や「マンション」で旅館業法の許可を受けるには、建物の用途を「ホテル」に変更・適合させるため、都市計画法や建築基準法等の厳しい規制をクリアしなければなりません。例えば、ホテルの建築が認められていない「住居専用地域」に所在する住宅では、都市計画法の制限から、そもそも「ホテル」の建築が認められません。また、仮に都市計画法の規制をクリアしても、建築基準法の厳しい基準に適合させるため、数百万円規模のリフォーム・申請コストがかかってしまいます。


 この点、民泊新法は、住宅における宿泊サービスの提供日数が年間180日以下の場合、建物の用途を「住宅」扱いとする規制緩和を図っています。このため、例えば、ホテルの建築が認められていない「住居専用地域」に所在する住宅でも民泊新法の届出はできますし、建物に非常用照明器具を設置するなどの措置を取れば、建築基準法上も建物を「ホテル」としての厳しい基準に適合させる必要はありません。



主たる用途を「住宅」とすることで、関係諸法令との整合性を確保する

 前述のとおり、民泊新法では建物の用途を「住宅」扱いとすることで、都市計画法や建築基準法の規制緩和を図っています。この「住宅」扱いが認められるのは、建物の主たる用途が、依然として「住宅」であるからに他なりません。すなわち、民泊新法で住宅における宿泊サービスの提供を180日に制限している理由は、残りの185日、つまり1年の過半が「住宅」として利用されることを確保し、もって建物の主たる用途を「住宅」と位置付けるためです。このため、国土交通省と厚生労働省は、年間180日以外の期間を「住宅」以外の用途、例えばパーティー会場や会議室等として施設を利用する「時間貸し」に用いることは認められないとの考え方を示しています。


 もし民泊新法の年間上限を185日に設定すると、その建物では1年の過半において宿泊サービスが提供されうることになり、主たる用途は「ホテル」せざるを得なくなり、再び都市計画法や建築基準法の厳しい規制が課せられることになるでしょう。これら既存の関係諸法令との関係からは、年間のほぼ半分の180日が上限とされる現行法の規定により、すでに最大限の規制緩和が図られていると考えられます。


「民泊は年の半分に留めましょう」ではなく「年の半分は住宅として使いましょう。それならば、(基準が緩い)住宅扱いを認めます」と表現するとわかりやすいかもしれません。



日数制限のさらなる緩和の方法は?

とはいえ、確かに「180日しか営業できないのは使い勝手が良くない」と感じる方もいらっしゃることでしょう。住宅宿泊事業法では、地域ごとに異なる実情に鑑み、住民にとって住みよい住環境を確保する観点から180日の日数制限に関する条例を定めることができます。このように、宿泊サービスの提供についても、地域の実情に沿った取扱いができないものでしょうか?


住宅宿泊事業法においては、建物の主たる用途を「住宅」と整理することにより、他法令例との整合を図っている以上、これ以上の緩和は難しいと前述しました。それでは、ほかにどのような規制緩和の余地があるのか?次回は、180日規制を維持することをベースとしたうえで、更なる規制緩和に向けた施策を考えていきたいと思います。



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