今回は、前回の続き「人口減少下の不動産事情その2」と題し、マンション価格の動向を中心にお伝えしてまいります。


修繕積立金が支払えない


マンションに居住中の方々の間で、今差し迫って解決しなければならないことは、修繕積立金の問題です。

ご存知の通り、マンションは十数年ごとに大規模修繕が必要となります。外壁の塗り直し、エントランス、階段などの共用部分の改修、修繕、クラックなどが入った場合の補修など多額の費用が掛かります。

それに備えて所有者が修繕積立金を毎月負担しているのですが、その金額が重荷だというわけです。

数十世帯から、何百世帯とマンションの世帯数は異なりますが、そこに住んでいる方々の意見をまとめるのは想像以上に大変です。

しかもそれぞれが当事者ですので、自分の意見を通そうとします。その世帯の家族構成、年齢によって思惑も異なってきます。管理組合の理事長はじめ、役員の方々の大変さは、想像に難くありません。

しかも修繕積立金は段階的に値上げされることが多いのも事実です。

例えば、第一回目の大規模修繕を目前にして、理事会で値上げの決議がされたり、積立金不足が生じたり、不安の種は尽きません。

さらに、実際に積立金がアップした場合、未払い入居者が出てくることも予想されます。修繕積立金の滞納問題が今後深刻化することもあり得ます。

エリアによるマンション価格の差

一方マンションの首都圏での販売市場を見てみますと、新築マンションの契約戸数は減少していますが、まだ2008年のミニバブル期後のような在庫処分までは行っていません。

その一方中古マンションは、活況を呈し、新築マンションの契約戸数を逆転し、価格も少しずつ上昇しています。

これは、新築マンションには手が届かない層が、リノベーションなどを行うことにより、手ごろな価格で、より都心に近い場所で購入できることが、人気の秘密のようです。

これから中古物件を購入する方々が一番気を付けなければならないことは、購入するエリアです。

例えば、地下鉄半蔵門線、大江戸線が交差している清澄白河周辺の築30年の中古マンションは、新築時より価格が上昇しています。

当然30年前には、半蔵門線、大江戸線は開通していなかったので、それを見越して購入した方々は、先見の明があったわけです。

一方、都心から30キロより遠く離れた小田原駅周辺のマンションなどは、価格が大幅に下落しているところが多いのが実情です。

不動産で持っている以上変えられないのが、立地です。都心からの距離、そして最寄り駅からの距離は、購入前に調べることが出来ます。そして購入後は、新駅建設などがない限り、飛躍的な利便性の向上はあまり望めません。従って、慎重に調査し、本当に買う価値のある不動産なのかをじっくり吟味することが必要なのです。
(以下次号)

 
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