今回は、ReTech、不動産とテクノロジーの融合 その2と題して、その将来像について考えてみます。

ReTechの盛り上がり   


前回は、スウェーデンで今年3月から実験が開始されるブロックチェーンを使った不動産登記のことについて紹介しました。

海外では、すでにReTech(Real Estate +Technology)が盛んになり、フランス・カンヌで毎年3月に開催されている世界最大の不動産見本市MIPIM(ミピム)では、2015年、2016年と2年連続でReTechがテーマとして取り上げられています。

やはり、アメリカがこの分野でも先行しており、ZillowやTruliaなどの老舗企業をはじめ、様々なReTechビジネスが盛り上がりを見せています。

日本国内においても、今皆さんがご覧になっているこのサイトも、インターネットを用いた不動産売却、購入のポータルサイトであるスマイスターであり、その他Yahoo!不動産×ソニー不動産の「おうちダイレクト」、リクルート×マイクロソフトの「Bing不動産」などがあります。

ReTechは一過性のブームで終わるのか?                   

ReTechはどのくらいのポテンシャルを持っているのでしょうか。ここで注意しなければいけない点は、不動産に関する商習慣の違いや、規制の在り方で、ReTechの広がりの速度が全く異なることです。

従来からある、物件をマッチングさせるだけのインターネット活用と考える方々は、このテクノロジーは一過性のものだと考えるでしょうし、取引事例や購入層の細かい詳細などビッグデーターを使い、さらにAIを併用し、より広範囲な分野にまで広がると予想される方々は、ReTechに無限の可能性を見出しているでしょう。

日本人の不動産に対する考え方は、新築至上主義による住宅の中古市場における流通物件の少なさ、情報の透明性、流通性の低さ(REINSは登録業者しか見ることが出来ない)、情報の囲い込み(仲介業者中心、アメリカでは、ブローカーの他に、エスクロ、インスペクター、モーゲージブローカー、アッセトマネージャー、プロパティマネージャーなど不動産売買にかかわる人たちが多い)などの制約が存在しているため、決してオープンなものではなく、むしろクロースドな感覚を覚えていると言えましょう。

また、エンドユーザーから見た、不動産業界への見方も、決して前向きに評価してくださるわけでなく、どちらかというと時代遅れの取引手法と考える方々が多いのではないでしょうか。

ReTechは、そのようなエンドユーザーが不動産業界に持つネガティブな印象を変える力を持つものだと、私は感じています。

(以下次号)

 
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