固定資産税は、「毎年1月1日現在の所有者」に対して課せられる税金です。つまり、去年1年間通して所有していた、あるいはこの先1年間所有する人に対して課す税金ではなく、「1月1日に不動産を所有していた人であれば、税金を納めるだけの資力がある(担税力)」として課せられるものなのです。したがって、1月2日にAからBに所有者が代わったとしても、納税義務者はAということになります。


税法の考え方ではこういうことになるわけですが、現実の取引においては所有期間に応じて負担するのが一般的で、買主が売主に引渡日からその年の12月31日までに相当する金額を支払うことになります。固定資産税の納税義務者は「1月1日現在の所有者」ということですが、実際の税金は会計年度(4月1日~翌年3月31日)に対応しています。(実際、納税通知書は4月~5月頃送付されてきます。)

そのため、精算の起算点を1月1日とするか4月1日とするかが問題となります。何故なら、起算日を1月1日にするか4月1日にするかによって、金額は大きく違うからです。


<例>税額100万円、引渡日2016年11月1日


①1月1日起算の場合


 100万円×61日/365日=167,123円(買主負担)


②4月1日起算の場合


 100万円×151日/365日=413,698円(買主負担)


同じケースで、引渡日が2017年3月1日とすると以下のとおりとなります。


③1月1日起算の場合


 100万円×305日/365日=835,616円(買主負担)

 ※2017年1月1日~12月31日を日割り


④4月1日起算の場合


 100万円×31日/365日+100万円=1,084,931円(買主負担)

 ※2016年4月1日~2017年3月31日の日割り+2017年4月1日~2018年3月31日の1年分


関西エリアでは4月1日起算とすることが多いようですが、その他の地域では1月1日起算とすることが通例です。

ところが、1月1日起算で行うにせよ4月1日起算で行うにせよ、1~3月にクロージング(代金決済・引渡)が行われる場合には、その年の納税通知書がまだ売主の手元に無い状態になります。

そのため、実務的には次のいずれかの方法をとることになります。


A)前年税額で確定的に精算を行う(前年税額と当年税額に差異があっても再精算しない。)


B)クロージング時には精算を行わず、納税通知書が到着してから精算を行う。


C)前年税額で仮に精算を行い、前年税額と当年税額に差異があった場合には再度精算を行う。


一番簡単なのはAですが、3年に1度行われる評価替えの年には特に税額の差が生じやすいので、地価の高いエリアでは不適当でしょう。(反対に税が安い物件であればこのパターンでやるのがリーズナブルです。)


Bは当年税額での精算であり、また1回で済むという点では最も優れています。ファンド間の売買ではこのパターンで行うことが多いと思います。

しかし、なかには請求しても支払わない買主もいますので、売主としては不安が残ります。クロージングと同時であれば、支払いがなければ物件の引渡をしなければ済む話ですが、いったん引渡をしてしまうと、売主としては不払いに対抗する有効な手立てがありません。(もちろん裁判をやれば勝てますが、精算金の額と裁判費用を考えると泣き寝入りとなってしまうことも十分ありえます。)


そこで、Cのパターンを採用し、前年度税額で仮精算を行い、少なくとも前年税額で計算した精算金を買主から受け取っておくということもよく行われています。

こうしておけば、クロージング後の再精算に買主が応じなかったとしても、最小限の損失で済むからです。(ただし、二度精算を行うという点では手間は煩雑ですが。)

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