2016年12月11日
司法書士 成田尚志

権利書今昔物語(売主の必要書類1)

司法書士 成田尚志

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はじめまして。司法書士の成田尚志と申します。


昔から「円月堂」というペンネームで、業務に関係あることないことを
気ままに書いていますが、ここでは不動産の売買を中心とした登記手続に
関して、なるべく実用的なことを書いていこうと思います。
よろしくお願いいたします。




では、まず最初に売主さんの必要書類について解説します。
以下は、少し前に私が携わった案件で売主のAさんにご案内した文書の
一部分をアレンジしたものです。




①登記済証(従来様式の権利書) 2通
 ・昭和62年1月26日受付第1234号(土地・建物の1/2)
 ・昭和62年1月26日受付第1235号(道路の1/2)


②登記識別情報通知書(新しい様式の権利書) 4通
 ・平成23年11月7日受付第23456号によるもの3通(土地・建物の1/2)
 ・平成23年11月7日受付第23457号によるもの1通(道路の1/2)
 ※必ず法務局が施した目隠しシールが貼られたままの状態でお持ちください。


③印鑑証明書(3ヵ月以内のもの) 1通


④住民票(住所のつながりが取れるもの) 1通


⑤土地・建物の28年度固定資産評価証明書 各1通(計3通)


⑥登記原因証明情報と委任状(当方準備。実印が必要です)


⑦有効期限内の本人確認資料 1点(写真付き)または2点(写真なし)


(日付と番号は適当です)




①と②は、どちらも一般に「権利書」と呼ばれるものです。
「権利書」というのは俗称で、①の「登記済証」というのがかつての
正式名称でした。
「権利書」と聞いて多くの方がイメージするのが、この「登記済証」
ではないかと思います。


ところが、平成17年に施行された改正不動産登記法において、
いわゆる「オンライン指定庁」となった登記所では、
新たな登記名義人に対して登記済証の代わりに「登記識別情報」
というものを通知するようになりました。


登記識別情報は、英数字の組み合わせからなるパスワードのようなものです。
いずれ別の機会に詳しく解説したいと思いますが、その本質は情報であって、
登記識別情報が記載された登記識別情報通知書を「権利書」と言い切って
しまうのは正確ではありませんが、簡単に「権利書」と呼ぶことが多いのでは
ないかと思います。



要するに権利書のスタイルには新旧あって大きく異なるということです。
更に言いますと、登記識別情報通知書も数年前からスタイルが変わっています。
当初は登記識別情報が記載された部分には目隠しシールが貼られていましたが、
このシールは全然はがすことができない不具合がたまにありましたので、
数年前から登記識別情報が記載された部分を折りたたんでいる方式に
変わりました。


気をつけなければならないのは、ある日を境に全国の登記所が一斉に
切り替わったのではなく、数年かけて順次オンライン指定がなされて
いきましたので、同じ年月日でもA登記所では登記済証が交付されていた
のに対して、B登記所では登記識別情報が通知されていたといった
新旧混在の期間が存在していたということです。



そのため、ご依頼があった場合は、まずその不動産の管轄登記所が
オンライン指定された年月日を確認して、登記済証か登記識別情報かを
見極め、さらに登記識別情報の場合は様式変更の指定前か後かも
確認した上でご案内する必要があります。
平成16年以前であれば登記済証しかありえないので考えるまでも
ありませんが、平成17年からの数年間の場合は要注意です。


また、②の注意書きで「※目隠しシールが貼られたままの状態でお持ちください」と
お願いしていますが、様式変更後のものである場合は「折りたたまれた状態で…」
というように表現を変えています。




すっかり前置きが長くなりましたが、売主のAさんは昭和62年に
土地2筆と中古の建物、それから道路の持分を夫と1/2ずつの割合で
購入し、その後平成23年に夫の持分を単独で相続したという設定に
なっています。
道路以外は、現在はAさんの単独所有なのですが、権利書は全部で
6通もあります。


まず購入時のもの。昭和の話ですので当然登記済証です。
単独所有の土地2筆と建物について1通、申請を分ける必要がある
道路持分について1通で、合計2通です。
ちなみに、これらは夫の権利書でもありました。



それに対し、相続時に交付された登記識別情報通知書は4通です。
不動産の個数は購入時と変わっていません。
なぜかといえば、登記済証は一定の条件を満たす複数の物件について
1通だけ作られますが、登記識別情報は物件ごと・人ごとに1個ずつ
通知されるからです。


この例では不動産の数は全部で4個ですから通知書も4通です。
もし、今この物件を夫婦共同で買えば、4(物件)×2(人数)で
8通の登記識別情報通知書が出てくることになります。
そのうちの1枚でも紛失すれば「権利書が足りない」ということに
なってしまいますから、管理は登記済証よりも大変と言えるでしょう。


そもそも登記識別情報通知書はペラペラの紙1枚ですから、
重みやありがたみといったものが感じられず、「これが権利書です」
と言われても、多くの方はなかなかピンと来ないのではないでしょうか。
ですから、私もそうですが、大抵の司法書士は通知書にもっともらしい
表紙を付けた上でその重要性を説明し、厳重な管理をお願いしている
のではないかと思います。



「物件ごと・人ごと」に交付される登記識別情報通知書は枚数が多くなりがちで
管理が煩わしいかもしれませんが、そのことによる利点もあります。


登記済証は名義人が何人いようと1個の申請に対しては1通しか作られないため、
共有者の間で誰が保管するかという問題が起きないとも限りませんが、
登記識別情報は各人に“その人専用の”通知書が交付されますので、
そのような問題は生じません。
離婚の時などは便利と言えるかもしれませんね^^;



必要な権利書はどれかという話に戻ります。
強調しておきたいのは、①と②の両方が必要だということです。
「相続したことによって自分ひとりの所有になったのだから、
そのときの権利書があればいいのだろう」とお考えになる方が
たまにいらっしゃいますが、そういうわけにはいきません。


相続したのはあくまで所有権の1/2ですから、その際に交付された
権利書も1/2相当でしかないわけです。
もちろん、購入時の権利書だけでも足りません。
購入時の権利書(1/2)と相続時の購入時の権利書(1/2)の
両方が合わさって初めて所有権全部の権利書が揃っていると
言えるのです。



権利書についてだけでも、まだまだ言い足りないことが沢山ありますが、
長くなりましたので、続きはまたいずれ。


この分だと必要書類全部について解説が終わるまで何回かかるでしょうか?^^;


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