不動産の売却理由

不動産を売却される方には、それぞれに様々な事情があります。

A) より良い家に住みかえる
  ・ 賃貸からの住み換え
  ・ 持ち家から持ち家への住み換え
B) 家族の周辺環境の変化
  ・ 結婚するため、したため
  ・ 離婚したため、するため
  ・ 出産・子育てのため
  ・ 介護のため
  ・ 相続したため
  ・ 実家を出るため
C) 生活の拠点の変化
  ・ 転勤・転職するため、したため
  ・ 退職を機に転居するため
D) 収益性・資金調達
  ・ 売り時だと判断したため
  ・ 資金が必要になったため
E) その他

それぞれの事情による不動産価格への影響

様々な売却理由がありますが、これらの売却理由が価格に影響を与えることがあります。

そのうち最も大きく影響すると考えられるのが「時間的制約」です。

「より良い家に住み換えよう」とする方の中には、期限の制約が少ない方もいるでしょう。

賃貸からの住み換えでは「賃貸契約の更新前までに」と考える人もいらっしゃいます。

しかし実際には、転居先が決まる前に契約更新しないことを大家さんに伝える人は少ないので、

「良い物件が見つからなければ契約更新も選択肢」とお考えになるでしょう。

一方で、離婚する場合やなどは時間的な猶予がないことがあります。

「すぐにでも売りたい」「何カ月もかけられないという場合」「多少値段が安くても早くすっきりしたい」

という心理も働きます。

相続の場合にも時間的制約を受けることがあります。
相続手続きが円満に進み、納税資金も確保できている場合は良いですが、

不動産を売却しないと納税資金が確保できない、というケースもあります。
相続手続きにはタイムリミットがあり、相続人の間で方針決定が遅れるほど時間が無くなります。

納税猶予をしてもらうにしても、そんなに長期間確保できるわけではありません。

遺産分割協議でもめると売却手続きに入ることすらできませんので厄介です。

不動産の売却はできることなら計画的に

様々な事情の中には、突発的に起こる変化に伴ってやむなく売却をするというケースもあります。

一方で、できた準備をしていなかったために慌て、結果的に安く売却することになるというケースも

少なくないと思われます。

全てのケースに備えることは難しいですが、予測できるケースにはできることなら備えておきたいものです。

どんな準備が必要か

では、どんな準備が必要でしょうか。

昔から所有している不動産では、隣地との境界があやふやだったり、越境があるなど、紛争が発生する

リスクがある、あるいは発生している場合があります。

相続では隣地と紛争がある場合、相続税を物納する選択肢はありません。

事前に境界画定や紛争解決しておくことで、いざというとき、手続きがスムーズに進みます。

また、相続では不動産を共有で相続するのは避けるべきだとよく言われます。

売却するときや活用するときなどに当事者が増えることで、合意が得にくくなったりするためです。

相続発生前にどのように分割するのかあらかじめ決め、分割しておくなど準備しておくことも重要です。

また、ご自身が所有している不動産にどんな可能性があるかを知ることも大切です。

周辺のアパートの稼働率はどうか。

店舗などの商業施設としての利用は可能か。

隣地が空き家になっている場合には隣地と共同して活用したりすることで可能性が広がることもあるかも知れません。

近隣の人たちとの円滑なコミュニケーションが取れていれば、こうした可能性も広がるかもしれませんし、

地元の不動産屋や不動産コンサルタントに相談すると自分では思いつかなかったアイデアがあるかも知れません。

不動産の特徴と価格推移

不動産の場合、他の資産と異なる特徴として「維持にコストがかかる」ことがあげられます。

税金のほか、マンションであれば管理費や修繕維持費などがかかります。

戸建て住宅でも庭の手入れや自主的に積み立てておく修繕費などがかかるでしょう。

かつて「不動産は価格が下がらない資産であり、借金してでも不動産は持つべき」といわれた時代がありました。

バブルの崩壊とともにそんな時代は終焉しました。

しかし、バブルの頃やその前から不動産を所有している人たちの中には自分の不動産の価格について

「もっと高いはず」という印象を持たれている人は少なくありません。

バブルの頃に、売却は考えていないものの、保有する不動産を売却したらいくらくらいになるかを聞いたり、

不動産を担保に資金調達しようとした人は担保価値として示された価格を記憶していたりします。

そのような方が、不動産査定を依頼し、金額を知り、がっかりされることもあります。

刻々と変化する世の中で不動産の価格も変化しています。

これからの不動産売却

不動産の価格は需要と供給の折り合うところで決まります。

不動産の査定を依頼しても、その不動産会社が仲介して購入者を探す場合、査定価格で売れるとは限りません。

むしろその査定価格は最大価格で、一般的にはその価格より安く決まる、と考えたほうが良いでしょう。

さらに、これから日本は人口減少、少子高齢化がさらに進行します。

空き家が増えている話もよく聞きます。

空き家が増える原因はいろいろありますが、これからさらに空き家が増えると予想されています。

この中には賃貸住宅の入居者が決まらず空き家となっているものも含まれます。
そのエリアのアパート経営で入居者が決まりにくい場合、賃料を下げてでも稼働率を上げる必要が出てきます。

賃料の下落は不動産収益の悪化につながります。

新たにアパート経営を行うための物件を購入する人は、安く物件を取得することで収益率を上げたいと考え、

結果として周辺不動産の相場は下落することになります。

住宅地の査定において、周辺相場は最も重要視される指標です。

長期的には多くのところで不動産の価格は下落するとみられています。

不動産は活用されてこそ価値がある

土地は更地で所有しているだけではコストがかかり、生み出すものはありません。

また、誰も使わない建物も何も生み出してはくれません。

(住宅の場合、解体してしまうと税金が上がるためさらにコストが上がってしまうというケースもあります)

地域の健全な環境を維持するためにも、不動産を所有されている方々には活用するか、自分で活用するつもりが

ないのであればタイミングを見て売却することも視野に入れ、検討をしておくことが大切です。

 
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