① 財務諸表って何
財務諸表という言葉をお聞きになられたことはございますか?
財務諸表とは、事業の経営成績や財産の状態を表すもので、一般的に決算書と呼ばれるものです。
財務諸表の中には、ある時点での資産、負債、純資産の状態を表す貸借対照表。一定期間の収益と費用と利益を表す損益計算書。
一定期間の現預金の増減を表すキャッシュフロー計算書などがあります。
これらの財務諸表は、不動産投資のお金の流れを読むために重要なツールになります。キャッシュの把握、税金の計算、金融機関
の融資資料としてよく使われるものです。
もう少し詳しく見ていきますね。
② 損益計算書
損益計算書は一定期間の収益と費用と利益を表すものですが、確定申告書の税金の計算をするときに使われます。
不動産投資の収入には賃貸料、礼金、アンテナ収入、自販機などがあります。
一方、経費には、固定資産税や収入印紙などの租税公課、リフォームをした場合の修繕費、不動産管理委託に必要な「BMフィー」や
「PMフィー」などの管理費、共用部分の水道光熱費、仲介会社へ払う広告宣伝費、火災・地震保険料、借入金の利息、減価償却費など
があります。
少し言葉の解説を付け加えておきます。「BMフィー」とはビルマネジメント・ビルメンテナンス業務のことをいい、「PMフィー」と
はプロパティマネジメント業務のことをいいます。BM業務の具体的内容としては、日常清掃、設備の管理・点検、警備業務、防災消防管
理、保守管理、巡回見回り、植栽管理、美観管理など賃貸管理におけるハード面の業務が挙げられます。PM業務の具体的内容としては、
空室テナント誘致、契約締結業務、クレーム対応、賃料の回収、滞納督促、工事発注・管理、オーナーへの業務報告など賃貸管理における
ソフト面の業務があります。
この収入から経費を引いたものが利益になります。ただし、この経費には実際に支出していないものなどが含まれるため、実際手許にある
現預金と利益は一致しません。そこで登場してくるのが、キャッシュフロー計算書になります。
③ キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー(CF)計算書は一定期間の現預金の増減を表します。実際のお金の流れを表し最終的にいくら残るかが分かります。また、
投資物件ごとにCF計算書を作成すると、不動産投資に重要な指標である、満室表面利回り、純収益利回り、所有時税引前CF、所有時税引後CF、
借入金比率、債務回収比率、自己資金の回収期間、売却時税引後CF、投資業績、投資利回りなどが簡単に計算ができ、よりどこに注力しなけれ
ばならないかが見えてきます。
④ 貸借対照表
貸借対照表とは、ある時点での資産、負債、純資産を表すものですが、これは、ご自身の財布の中味の内訳と思えば分かりやすいと思います。
不動産投資での資産は、土地や建物になります。負債は金融機関などからの借入金、純資産とは、資産から負債を引いた金額になりますが、ご自
身でお持ちの株式や出資金の価値を表します。
物件を売却するときには、資産に記載されている金額が大きな意味を持ちます。
⑤ 金融機関への書類
欲しい物件が見つかり、金融機関に融資をお願いする場合には、上記の財務諸表が重要な書類になります。実際に不動産投資をされている方でも、
決算ごとに決算書を金融機関に見せていれば、「いざ」という時に役立つこともあります。決算書については、工夫すべき点、個人と法人との違
いなど多々あります。
⑥ インカムゲインとキャピタルゲインの把握
インカムゲインを把握するには、上記の損益計算書とCF計算書の作成と把握が重要になってきますし、キャピタルゲインを把握するには貸借対照表
の資産を把握する必要があります。その上でも、財務諸表の理解は、不動産投資にとって必須アイテムです。