①相続税のしくみ
最近頻繁に新聞や雑誌で、「相続対策セミナー」「終活」「エンディングノート」などの
見出しを目にされた方は多いのではないでしょうか。
なぜかといいますと、H27年1月1日から相続税が改正されて、基礎控除の金額が下がり相続
税を申告しなければならない人が増えたからなんですね。
どういう方が申告しなければならないのか、相続税のしくみと一緒に見ていきたいと思います。
相続税の計算は
相続財産(金銭、有価証券、不動産などの資産から借入金などの負債や非課税資産を引いたもの)
から基礎控除(3,000万円+600万×法定相続人の人数)を引いた金額に税率を掛けて計算します。
この基礎控除の金額が相続税の改正で、5,000万円が3,000万円に、1,000万円が600万円に下がっ
たので相続税を払う方が増えたのです。
相続税のポイントはといいますと、金銭や有価証券の価値の評価は大きくは変わらないので、不動産
の評価になります。
② 不動産投資をすれば相続税対策になるのはなぜ?
不動産を評価するときは主に、土地は路線価、建物は固定資産税評価額が使われます。
路線価での評価は概ね公示地価の8割、固定資産税評価額での評価は概ね建築価格の6割くらいになり
ます。
ここに税法上の特例が加えられます。
例えば、貸家の評価額が3割減になったり、貸家の敷地が2割減になったりします。
よく金融機関や不動産業者が相続税の試算をして、「これを建てると相続税が0になりますよ」と営業さ
れるのを聞かれたことがあると思います。
これは、上記のような理由で、土地や建物を購入した場合は、評価を下げることができるのと、それを借入
金で賄うことにより、評価が下がった部分が節税できるという仕組みになっています。
これは投資不動産が相続税対策になるポイントです。
③ こんな相続税対策も
普通法人や一般社団法人を設立して相続税対策をする方も増えてきています。
これはどういう事かといいますと、相続人を代表者にして法人を設立します。その法人に個人が持っている
不動産を売却します。
ここでのメリットは3つあります。
1、 遺言などが無くても次に資産を所有する方が決まっているので、相続が争続にならない。
2、 法人からの売却資金が個人に入ってくるので、いざという時の手持ち資金がある。
3、 相続税の税率(10%~55%)と譲渡所得税の税率(20%)の差額は節税になる。
設計をうまくすれば、教育資金の贈与や住宅資金の贈与などを使い、相続対策もスムーズに進むと思います。
④ 相続対策は方針をまず決める
個人の相続対策は不動産投資を含めて方針を決めることが大切になります。
例えば、相続税を減らすことが目的であれば、個人で不動産を購入する必要がありますし、次の資産を所有する
人を決めるのであれば、相続時精算課税という方法もあります。成年後見が必要な場合は話し合いの回数が増え
ますし、なかなか方針が決まらないかもしれません。
状況に応じてメリットとデメリットは隣り合わせで存在します。身近な税理士に相談はしてくださいね。きっと
貴方にとっていい方法を一緒に探してくれると思います。