不動産を持っている親世代にとって、その財産を次の世代に受け渡すことは、なかなかの問題のようです。親世代の不動産相続は、生前贈与と相続、どちらで受け継ぐのが良いのでしょうか。

 

■生前贈与と相続

名前だけは知っているけれど、生前贈与と相続、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

 

相続とは

相続は、不動産の持ち主が亡くなったあと、財産を引き継ぐことを指します。相続は、遺言の有無によって、大きく割合が異なります。遺言がない場合、財産の半分は配偶者に相続され、残りの半分を子どもたちで均等に分け合います。遺言があった場合で、その遺言が相続者に了承されない場合、遺留分として相続されるべき半分の財産を相続することができます。

 

生前贈与とは

生前贈与は、その名の通り、持ち主が生きているうちに行う相続です。配偶者や子孫など、贈与者が譲り渡したい相手に、不動産を譲り渡すことができます。

 

■それぞれのメリット・デメリット

では、生前贈与と相続には、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

 

生前贈与のメリット・デメリット

生前贈与の最大のメリットは、不動産を持っている人の意思が、きちんと反映される、ということです。例えば、自宅を長男に相続させたいと遺言を残しても、相続の場合は配偶者や兄弟が遺留分を請求すれば、長男一人では相続ではない可能性もあるのです。遺言を残さずに亡くなったとしても、遺産相続が家族同士の争いの原因になることもあります。生前贈与は、これを回避することもできるのです。また、制度などを上手く利用して贈与の手続きをすれば、相続税を大幅に減らすことができるのも大きなメリットです。

これは逆にデメリットになる場合もあります。贈与税は相続税よりも高額なため、条件によってはあまり効果が得られなかったり、登録免許税や不動産取得税が発生したりと、かえってマイナスになるケースもあります。また、一度生前贈与が成立すると、元に戻すことが難しくなります。親世代の面倒を見ることが条件で贈与したにも関わらず、実際には老後の世話をしない、などといった場合でも、取り戻すのが難しいケースもあります。

 

相続のメリット・デメリット

 相続税は、3000万円の基礎控除が適用されるのが、最大のメリットです。通常の一戸建てやマンション程度なら、ほぼ非課税で相続できるでしょう。また、不動産取得税も控除されるので、場合によってはほとんど負担なくマイホームを持つことができるのです。

 一方で、基礎控除以上の相続があった場合、相続税は死後10か月以内に支払わなくてはならないため、負担が大きいというデメリットがあります。相続対象が不動産のみだった場合、現金は相続者の持ち出しとなってしまいます。また、他の家族から、遺留分として不動産に相当する現金などを要求される場合もあります。

 
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