親世代から相続した田畑を売却したり、憧れの田舎暮らしのために田畑を購入したり。田畑は、通常の不動産売買と同じように売買できるのでしょうか。

■田畑の売買は厳しい!

田畑は、大切な食糧の元となるもの。よって、その取引には厳しい制限があります。詳しくみてみましょう。

農地は農家しか買えない!?

農地は、その用途が耕作用と決まっているため、農家か、新たに農業に参入する人しか購入することができません。ただし、農地にはいくつか種類があり、農地以外に変更する許可が出れば、売買をすることが可能です。

農地の売買

 農地の売買には、農地法という法律が適用されます。もし登記上で地目が違ったとしても、現在農地として使用されていれば、その土地は農地法が適用されます。

 農地を農地のまま別の人に売却する時は、農地法第3条の許可が必要になります。また、農地を別の用途しとして使用するために別の人に売却する場合は、農地法第5条の許可が必要になります。これらの許可を取らずに売却をしてしまうと、契約は無効になります。

■農地売買の流れ

農地を実際に売却する時は、どのような流れになるのでしょうか。第3条と、第5条の案件で、それぞれその方法が異なります。

農地を農地として売却する場合

 農地を他人に売却する時は、農地法第3条に従って、農業委員会に許可を申請しなくてはなりません。これは、現在の持ち主から別の持ち主に所有が変わると、作物ができる量が減ってしまう可能性があるためです。売買契約を締結した後、農業委員会に売買許可の申請を行います。その間、移転の許可が得られるまで時間差が生じる可能性があるので、不動産売買ではめずらしい、仮登記を行うこともあります。無事に許可が取れたら、農地の代金を支払い、本登記の手続きを取ります。

農地を他の目的で売却する場合

 農地を宅地や駐車場など、他の目的に転用して使用する売却は、農地法第5条に従って、農業委員会軽油で、都道府県知事(農林水産大臣が指定する市町村は、市町村長)の許可が必要になります。これは、農地が減って、国内の農産物の生産が減ることからとられている措置です。ただし、都市計画法で、市街化区域(市街化を進めようと決められた地域)と定められたエリアにある農地は、農業委員会に届け出をするだけで、転用が可能です。

 手続きは、農地を農地として売却する時と、あまり変わりません。売買契約を締結したら、農業委員会を通じて転用許可申請を行い、その間に仮登記を行っておきます。無事に許可が下りたら、土地の代金を支払い、本登記を行います。

 農地を宅地などの転用目的で売却する際は、活用範囲が広がるので、農地のままの売却よりも高額になる可能性があります。少しでも高額で売却したい時は、転用が可能かどうか、農業委員会に確認してみましょう。

 
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