企業の業績を測る最も基本的なものが売上高です。不動産企業87社(※)を対象に、17年6月期までに報告されている各企業の決算書・有価証券報告書に記載されている売上と、2007年時の売上を比較し、売上成長率を算出しました。(リビンマガジンBiz編集部)

※注:編集部基準

(画像=写真AC)

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■業態転換や業務拡大が高い成長率に繋がる

1位になったビジネスワンホールディングスの成長率は26倍以上です。同社はパッケージソフトウェア開発で創業しましたが、2010年頃から不動産再販事業が主業になり大きな売上増につながりました。

サブリース契約業がメインの2位日本管理センターは、売上の指標となる管理戸数の増加が高い成長率に繋がっています。2007年には10,000戸程度だった管理戸数は、2016年12月期決算では73,165戸と大きく戸数を伸ばしています。本業を順調に進捗したといってよいでしょう。

4位のプレサンスコーポレーションや6位のシノケングループは、商圏を拡大させることが売上の成長に貢献しました。プレサンスコーポレーションは、関西を中心としたマンション開発・販売が主力事業です。近年では、名古屋市をメインとしたマンション開発を行う三立プレコンを子会社化、東海地方や東京などでも施工しています。シノケングループも、福岡を拠点に九州をメインとして投資用不動産事業を進めていましたが、現在では大阪や東京のみならず海外にも事業を展開しています。

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■活況な不動産業。一方でマイナス成長した企業も多い

今回調査した87社の平均売上成長率は170%と、不動産業界が10年前と比べて大きく成長していることが分かります。一方で、マイナス成長した企業は87社中33社と、約38%の企業が10年前と比べて売上が低下していました。

その要因として考えられるのが2008年の金融危機リーマン・ショックです。

59位の大京は、リーマン・ショック後の2009年3月期決算で564億円の赤字を計上しました。市況に影響されやすいマンション分譲事業専業だったことが大きな原因です。同社はマンション分譲事業専業から脱却し、ビル管理やマンション管理といったストック事業にも展開しています。2017年には、グループ会社である大京アステージの管理戸数は42万戸と、業界2位に位置しています。

68位のエリアリンクもリーマン・ショックによって深刻な業績低迷を余儀なくされた企業です。2007年当時、同社は不動産再生・流動化サービス事業が、売上の64%を占めていました。不動産再生・流動化サービス事業は、中古不動産を仕入れて付加価値を付けて売却するという不動産再販事業です。このため、リーマン・ショック後は5期連続で売上が減少しています。しかし、現在では景気の変動に左右されにくいトランクルームやコンテナを扱うストレージ事業をメインとし、直近では好調な成績で進捗しています。ちなみに2017年3月期の売上では、不動産再生・流動化サービス事業は全体の6%程度に縮小しています。

このように、リーマン・ショックのあと、売上を大きく落としながらも、新しい事業に転換し成功した企業が多数あることがわかります。常に新しい需要や動向に目を光らせることが重要なようです。

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