不動産会社106社(※)を対象に、所有する有形固定資産を集計し、ランキング形式で発表します。有形固定資産は土地や不動産など、会社が所有する資産がいくらぐらいあるのかという指標になります。(リビンマガジンBiz編集部)

※編集部基準

丸の内周辺 (画像=写真AC)

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■不動産企業にとって特に重要な有形固定資産


有形固定資産とは、企業が所有する土地や建物、設備といった資産のことを指します。たとえば製造業であれば所有する工場や機械などが有形固定資産にあたり、それらの資産を活用して利益を生み出します。

元証券アナリストの柴沼直美さんは「不動産企業の有形固定資産は、他業種に比べて企業を評価する指標として重要な要素」だと語ります。

これは、不動産企業が所有する開発予定の土地やオフィスビルの立地や需要が、メイン事業の業績に直結するケースが多いためです。投資家からの目線でも、価値のある有形固定資産を数多く保有している不動産企業は、業績を下支えする資産が多いという判断になります。有形固定資産が多いということは、より安定した企業であるという見方なのです。

では、ランキングの結果はどうなったのでしょうか。

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■旧財閥系不動産会社が上位占める


上位は、戦前から東京都心の一等地に多くの不動産を所有する旧財閥系不動産会社が占めました。

1位の三菱地所は有形固定資産3兆8,568億円のうち、土地が1兆9,873円で全体の51%、建物が1兆322億円で全体の26%となっています。同社は丸の内や大手町といった東京駅周辺の好立地に多数の不動産を所有しており、開発が盛んに行われています。特に、東京駅の北に位置する大手町2丁目を中心とした「常盤橋街区再開発プロジェクト」は、3haもの大規模な複合再開発計画で、2021年を完成予定に事業を進めています。

2位の住友不動産の有形固定資産は3兆1,624億円でした。そのうち土地は2兆3,901億円と三菱地所より多く、全体の75%以上を占めています。こちらも関西の一等地にあるビジネス街や、本社のある新宿に多くの不動産を所有しています。「住友不動産西新宿六丁目プロジェクト」は、西新宿6丁目に地上34階、地下2階、高さ160m、延べ面積約61,321㎡の超高層複合ビルを建設するというもので、2019年6月に竣工予定です。

3位の三井不動産は東京都日本橋や八重洲、日比谷での開発を推進しています。2010年に竣工した室町東三井ビルディングは、商業施設「COREDO室町」として開業し、好調に推移しています。また、2018年1月に完成予定の「太陽生命日本橋ビル」や、同年6月に完成予定の「日本橋高島屋三井ビルディング」など、今後も日本橋を中心とした開発を進めていくようです。

不動産会社の有形固定資産が低い企業は、例え業績が好調であっても、いつまで続くのかという不安が残る」(柴沼氏)

有形固定資産が少ない不動産企業は、業績の岩盤を作る資産の流動性が低いため、事業が将来にわたってどうなるのかが不透明に感じるようです。また、例え広大な土地や不動産を所有していても、価値がなければ良い資産とは考えられません。

立地や需要といった一般的な不動産取引において重要な要素は、不動産企業の評価にも密接に関連しているのです。

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【取材協力】
柴沼直美

キャリプリ&マネー代表

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、日本証券アナリスト協会検定会員、社会保険労務士、MBA(ファイナンス)、キャリアコンサルタント

 
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