不動産企業109社(※)のうち上場企業106社を対象として、PBR(株価純資産倍率)が高い順番にランキング形式で集計しました。2019年1月現在、1株当たりの株価が純資産より高値で取引されている不動産会社と、投資家に注目される企業の傾向をご紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)

※注=編集部基準

(画像=写真AC)

集計方法

・2018年1月18日20時34分時点の数値を集計

・(単)は親会社単体の数値、(連)は連結子会社まで含んだ数値であることを表す

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PBRが5倍以上の不動産会社は4社!

1位は原弘産で、1株当たりの純資産が0.97円であるのに対し、株価は10円と、PBRは10.31倍となりました。原弘産は山口県下関市にある不動産会社で、下関市・山口市の不動産賃貸や仲介を主な事業としています。

原弘産は、かつてはPFI事業や他社との提携にも積極的でしたが、2009年より売り上げの減少により多額の損失を計上するようになりました。以降、業績の悪化により2016年にはマンション開発事業から撤退、その後も不安定な経営が続いています。

1株の価格が安い低位株のため、変動率が激しく、デイトレーダーなどに買われてこの倍率になっているようです。かなり特殊な要因の高順位と理解してください。

2位はリログループで、連結子会社まで含めた1株当たり純資産306.68円に対し、株価は2,856円となり、PBRは9.31倍でした。リログループは社宅管理をはじめとする企業福利厚生のアウトソーシングサービスを中心に、中古物件に高い付加価値をつけて再販する事業、賃貸管理なども手掛けています。

リログループは近年、順調に業績を伸ばしています。人手不足の折、人材確保のために企業の福利厚生が見直される機運もあり、事業の将来性も買われて高値で取引されているようです。

3位はテンポイノベーションで、1株当たり純資産201.68円に対し、株価は1,575円となり、PBRは7.81倍となりました。テンポイノベーションは首都圏を中心に、居抜き状態の飲食店舗をオーナーから借り、出店者に転貸する店舗転貸借事業を営んでいます。

飲食店舗の扱いはオフィスや住宅とは異なるノウハウが必要ですが、テンポイノベーションは唯一の専門業者として独自のノウハウを構築しており、安定的に収益を増やしています。2018年10月には東証一部上場を果たしました。独自のノウハウが評価されてPBRが高いようです。

4位はカチタスで、連結子会社まで含めた1株当たり純資産が464.65円に対し、株価は2,952円でした。PBRは6.35倍です。カチタスは群馬県に本社がある不動産会社で、中古物件の買い取りや、リノベーションした中古住宅を販売する中古住宅再生事業を行っています。

カチタスは中古住宅再生事業を20年にわたって続けており、その実績やノウハウ、また近年ではテレビCM等のプロモーションの成功から業績を伸ばしています。2017年12月には東証一部上場企業となり、高値での取引が続いています。

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高BPRトップ10と、投資家に注目される不動産会社の傾向

続いて、BPRの倍率が高かった会社4位から10位までをご紹介します。

5位 エムティジェネックス (連)4.71倍

6位 アルデプロ (連)4.32倍

7位 青山財産ネットワークス (連)4.26倍

8位 AMBITION (連)3.75倍

9位 ロードスターキャピタル (連)3.41倍

10位 パルマ (単)3.06倍

1株当たりの株価が純資産の1倍以上で取引されている不動産会社は60社でした。

ランキングを見ると、業績好調の企業であっても、必ずしも投資家に注目されているわけではないことがわかります。また、1位の企業を除く2~4位に関しては、企業の福利厚生や居抜き物件の活用、リノベーションなど、これからの日本でさらなる必要性が見込まれる事業が並んでいます。将来性を感じさせる事業の株が、高値で取引される傾向があるようです。

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