不動産業界 非正規社員の割合が高い企業ランキング【2019年5月集計版】

上場している不動産会社106社(※)を対象に、従業員全体に占める非正規社員の割合を高い順にランキングにしました。日本社会全体で非正規労働者が増加していますが、不動産業界では、どの程度の割合で非正規社員が雇用されているのでしょうか。(リビンマガジンBiz編集部)

※注=編集部基準

集計方法

・2018年2月期から2019年1月期までに公表された企業の有価証券報告書から集計

・非正規社員数は、有価証券報告書における臨時従業員数を集計

・連結決算の場合は連結数値を集計

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非正規社員割合が70%以上の不動産企業は3社

1位は日本ハウズイングで、全従業員26,489人の内、非正規社員は23,847人で、非正規社員の割合は90%となっています。日本ハウズイングは特定のマンション開発業者を親会社に持たない独立系マンション管理会社で、平成30年には分譲マンション総合管理受託戸数ランキング1位となっています(「マンション管理新聞」調べ)。

日本ハウズイングは前年度非正規社員比率90.2%よりはわずかに割合が減ったものの、依然として高い非正規社員割合を示しています。セグメント別にみると、マンション管理事業が15,207人、ついでビル管理事業が8,304人と、非正規社員全体の98.6%にものぼります。マンション管理員や清掃員として、多くの非正規従業員を雇用しています。

2位はエコナックホールディングスで、全従業員88人中、非正規社員は73人となりました。非正規社員の割合は83%となっています。大正15年創業のエコナックホールディングスは、温浴施設「テルマー湯」の運営、東京都心での不動産の売買・賃貸、刺繍・レースの企画・販売などを行っています。

セグメントを見ると、非正規従業員は全て温浴施設で働いています。正社員も、温浴施設が10人ともっとも多く、不動産や繊維事業が各1名ずつと、現在の同社は「テルマー湯」を主力事業としていることがよくわかります。

3位は東京楽天地で、全従業員668人中、非正規社員は530人で、非正規社員の割合は79.3%と、8割近い比率となっています。東京楽天地は、楽天地ビル、楽天地ダービービルなどの都内の不動産の管理・運営をしています。他にも映画興行や飲食店運営なども手掛けています。

セグメント別の割合としては、不動産事業、娯楽サービス事業、飲食販売事業のいずれにも非正規社員を数多く導入しており、非正規社員によって支えられている会社であることがわかります。

2018年の5月にも同様の調査をしていますが、2位と3位が入れかわっています。エコナックホールディングスは、化粧品事業から撤退したために雇用割合のバランスが変化し、非正規社員の割合がさらに高まりました。

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不動産業界 非正規社員の割合が高い企業ランキング 2018年5月集計

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非正規社員割合トップ10と不動産業界全体の傾向

続いて、ランキング4位から10位までの企業をご紹介します。

4位 明和地所 68.6%

5位 テーオーシー 66.5%

6位ビジネス・ワンホールディングス 64.3%

7位 穴吹興産 55.8%

8位 日本エスリード 53.7%

9位 日本アセットマーケティング 53.4%

10位 東京建物 52.5%

調査対象106社のうち、非正規社員の割合が判明したのは75社で、75社の平均は29%でした。前期の非正規社員の割合は30%だったため、全体ではわずかながら減少しています。

人材不足に悩む企業が多い中で、従業員の確保のために正社員化を進めているのかもしれません。

少子高齢化で、正社員のように勤続時間や勤務形態にとらわれずに働ける非正規社員は、高齢者や子供を持つ女性でも自分の体力や都合に合わせて働きやすいというメリットがあります。その一方、報酬の少ない非正規労働者の増加は、消費者の節約傾向を高め、長い目で見れば景気を減速ないし悪化させるリスクもあります。企業の側でも、短時間正社員制の導入など、より柔軟で、従業員の目線に立った雇用のありかたを模索する必要があるでしょう。

なお、臨時従業員数は、従業員数の100分の10に満たない人数の場合、有価証券報告書への記載が省略されることがあるため、ランキングで0人となっている会社でも、非正規社員が存在する可能性があります。

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