大手デベロッパー比較(メジャー6社)2021

日本の大手デベロッパー(総合不動産会社)6社について、売上、純利益、社員数、時価総額の4つの観点から比較、ランキング形式で発表します。また、前年期からの増減率も紹介します。6社中5社は2020年3月期決算のためコロナ禍の影響は限定的ですが、時価総額にはコロナ禍の影響が表れる結果となりました。(リビンマガジンBiz編集部)

集計方法

・三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングス、東京建物の6社を調査

・6社中5社の「売上」「純利益」「社員数」は、2020年3月期の有価証券報告書より集計

・東京建物のみ決算期が12月のため、2020年12月期の有価証券報告書より集計

・連結決算の数値を採用

・2021年4月21日時点の「時価総額」を集計

画像=Pixta

売上ランキング1位は不動の三井不動産 6社とも売上増を維持

1位は去年に引き続き三井不動産で、売上高は1兆9056億4,200万円でした。2位に三菱地所(売上高1兆3,021億9,600万円)、3位住友不動産(1兆135億1,200万円)、と、3社が売上高1兆円を記録しています。1位から6位まで、去年と変わらない結果となりました

参考サイト

大手デベロッパー比較(メジャー6社)2020

三井不動産は国内最大手の総合不動産会社で、注文住宅や仲介、「ららぽーと」などの商業施設などをはじめとして、様々な分野で活動しています。最近では、傘下の帝国ホテルの建て替えに伴い、帝国ホテル所有の「帝国ホテルタワー」の土地を一部取得、共同して再開発することを2021年3月に発表しました。

売上は6社すべてで増加していますが、住友不動産は前年比100%とほぼ横ばいとなっています。コロナ禍の影響がよりはっきり表れる来期に、どの程度売上が変化するか注目されます。一方、2020年12月期決算で、コロナ禍の影響をすでに数字上受けている東京建物は、104%の売上増加率を記録、苦難の時代においても力強さを感じさせます。

純利益ランキングは各社とも安定して増加 東京建物はコロナ禍でも増益

純利益ランキングにおいては、6社とも103%~109%と緩やかな増加率を示しています。東京建物がここでも前年比107%と順調であることが注目されます。

東京建物は「Hareza(ハレザ)池袋」などのオフィスビルや商業施設のほか、最近では、コロナ禍にもかかわらず「星野リゾート OMO5京都三条」を4月15日に開業させ、積極的な事業展開をしています。

東京建物はコロナ禍以前から社内のリモートワーク環境を整備するなど先進的な取り組みをしており、コロナ禍にも柔軟に対応できているようです。2020年12月決算でも投資家向け物件売却が増加し、売上や純利益を増加させました。

社員数ランキング1位は東急不動産ホールディングス

社員数ランキング1位は東急不動産ホールディングス(2万2,953人、前年比104%)となりました。同社はここ数年にわたって、一貫して業界第一位を維持し、社員数を増やしてきました。

東急HDは電鉄系の大手不動産会社で、「東急プラザ渋谷」といった商業施設や、雑貨店の「東急ハンズ」などを営んでいます。最近ではコロナの影響で減収減益となり、2021年3月には劣後特約付きシンジゲートローンによる総額300億円の資金調達の契約を締結したと発表しました。来期はコロナ禍の影響を受け、社員数の変化にも注目が集まります。

他方、コロナ禍を考慮してか、東京建物は前年より社員数を少し減らしています。

時価総額ランキング1位は三菱地所 各社昨年4月よりリバウンドで増加

1位は三菱地所で、時価総額は2兆5023億400万円となりました。コロナ前の時価総額は2兆8,000億円近くあったので、以前の水準にまでは回復していませんが、コロナ禍でも株価へのダメージが少なくおさえられていることが分かります。

三菱地所は東京丸の内にてオフィスビルを賃貸しています。近年はオフィスに特化した街づくりから脱却し、地域の地権者や行政と一体となり、より魅力的な街としての丸の内を再構築すべく、再開発プロジェクトに取り組んでいます。

コロナショックにより株価が暴落していた2020年4月28日当時の株価に比べ、三菱地所は104%のアップですが、他の6社は113%~151%と大きくリバウンドしています。これは、元々三菱地所は他の会社に比べて株価の下げ幅が少なかったためです。また、野村不動産HD、東京建物の2社はコロナ前の2019年1月の時点よりも株価が上昇しており、コロナ禍においても投資家の期待を集めています。

 
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