不動産テックに関する新連載を開始します。
不動産テック企業の経営者や業界団体に取材を行い、毎週金曜日に公開します。(リビンマガジンBiz編集部)


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スマートフォンのアラームが鳴り、あわただしく朝が始まる。会社に着いてみれば、すでに何十通ものメールでメールボックスはいっぱいだ。物件案内の場所まではスマホの地図が導いてくれる。会社への報告はメッセージアプリが担う。商談を兼ねたランチの予約から、買い物まで全てスマートフォンで完結するのが、当然の世の中だ。

思えば、インターネットが一般社会に登場してから20年、そしてスマホの登場から10年ほどの間に生活が変わった。不動産業も大きく変わった。不動産ポータルサイトや物件管理システムなどITの力なくして不動産ビジネスは成り立たなくなった。誰も、この変化にあらがえなかったのだ

将来、不動産ビジネスを劇的に変えると言われるのが、不動産テックとよばれる技術である。人工知能(AI)は単純作業を劇的に減らすと言われている。またIOTによって住宅はさらに快適になるかもしれない。仮想通貨に使われているブロックチェーン技術は、不動産登記の仕組みごと変える可能性がある。

衝撃はインターネットの登場よりもさらに巨大なものになると予想する声も小さくない。すでに金融業界が「テック後」の世界に向けて動いている。昨年末にメガバンク3行は業務量の削減と支店の統合策を次々に発表した。その削減量は大きく、みずほフィナンシャルグループは26年度末までに1万9000人の従業員を減らすという。三菱UFJフィナンシャルグループは9500人分、三井住友フィナンシャルグループは4000人分の業務量が将来いらなくなると予想する。3行をあわせれば3万2500人分の仕事がなくなる。不動産業界とは関係ない、対岸の火事と誰が言えようか。

経済産業省は2016年4月に「ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査」を発表した。その中でブロックチェーン技術が社会経済に与えるインパクトを、市場だけで無く、産業構造へ影響を与える可能性があると評価している。特に不動産業に関連するのは以下の2点だ。

①【権利証明⾏為の⾮中央集権化の実現】
②【遊休資産ゼロ・⾼効率シェアリングの実現】

①は土地の登記や特許などに関連している。現状では国が管理している権利証明の機能をブロックチェーン技術で代替するのだ。不動産の売買仲介や住宅賃貸が大きく変わる。土地の所有権移動は簡素になり、価値の証明もしやすくなる。地面師もいなくなるだろう。印鑑もなくなる。
②は利⽤権限管理に劇的な効率化がもたらされることで、遊休資産を頻繁に貸し借りできるようになる。レポートは「『⽣産者/サービス提供者』と『消費者』の境界がなくなることで、『プロシューマ』というあり⽅が⼀般化する。」とその社会変革の大きさを表している。

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10年前にスマホで部屋探しをする時代が来ると予想できた人はほとんどいない。翻って10年後の不動産ビジネスを正確に予想することなど誰にもできない。しかし、変化が起こることだけは誰もが認めるところである。これからリビンマガジンBizでは、不動産テックに関連する起業家、研究機関、業界団体、官公庁などに直接インタビューし、変化の胎動を見通してみるつもりである。これは着地点の見えぬ暗闇への跳躍とも評される試みだ。これから述べられる記事のいくつかが、不動産ビジネスの進歩とそこで働く人々のわずかな羅針盤たり得れば本望である。

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