遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。

これまでの商慣習や仕組みが劇的に変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。

不動産テックに関連する企業経営者や行政機関などに取材し、不動産テックによって不動産ビジネスがどう変わっていくのかを考えてみる。

今回は店舗の空きスペースを活用した荷物の預かりサービスを展開するecbo(エクボ・東京)の工藤慎一社長にインタビューする。先日にはサッカー元日本代表の本田圭佑選手が出資したことでも大きな話題を呼んでいる。世界に目をむける27才の本音を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)

工藤慎一社長(左)と本田圭佑選手(右)(プレスリリースより)

―サービス『ecbo cloak』について教えてください。

昨年の1月18日にローンチして、約1年半経ちました。

『ecbo cloak』は荷物の一時預かりサービスです。

多種多様な業種の店舗の空いているスペースを活用し、営業時間内で荷物を預かっていただいています。店舗を登録いただければ、『ecbo cloak』のプラットフォーム上に情報が追加されます。ユーザーはネットで預け場所としての店舗を見つけることができるようになります。

2018年7月現在で、全国に約1,000店舗あります。地域としては東京が一番多いですね。そのほかにも大阪や京都、福岡、北海道、沖縄などにも展開しています。

カフェや美容院、郵便局、駅、神社、漫画喫茶、それから不動産会社の店舗といった幅広い業種に導入してもらっています。不動産会社ではアパマンショップと提携し、全国87店舗に登録いただいています。

サービスの利用方法(画像提供=ecbo)

―やはり観光地での利用や登録が多いのでしょうか。

そうですね。東京はもちろん、大阪や京都、福岡など、人の多く集まるエリアは自然に利用者も店舗も多い傾向にあります。今年2月にJR東日本・西日本と、メルカリから資金調達をいたしまして、そこからはJR駅構内にも展開をすすめています。

―駅の構内にも『ecbo cloak』登録が増えているんですね。素朴な疑問ですが駅はコインロッカーを増設したりしないのですか。

現状、駅の中にはスペースがなく、これ以上コインロッカーを増やすことはできません。スペースがあったとしても、物販や飲食の店舗、インフォメーションセンターなどに活用しなければいけないものが多く、新たにコインロッカーを設置するのは難しいんです。

また、コインロッカーは目につく場所にないとなかなか利用されません。

需要はあるのに、供給されない。されても認識されないというギャップがありました。

「何かないか」となったときに、我々のサービスを活用することで問題を解消することができるんじゃないかという期待から提携が進みました。

ecbo・工藤慎一社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―『ecbo cloak』に登録している店舗は、荷物預かりプラスアルファの部分への期待というのもあるのでしょうか。

そうですね。

導入メリットでいうと、まず一番は空いているスペースを有効活用でき、副収入になるという点です。荷物預かり料金の単価は高くはないので、ものすごく大きな利益を生むわけではありませんが、もともとデッドスペースだった場所を活かせるので、店舗にとっては大なり小なりプラスの収入源になります。

また、さらに強調したいもう一つのメリットが、利用者が荷物を預けるだけでなく、店舗の既存サービスを利用する可能性が高いという点です。実際、飲食店に荷物を預けたお客の3割がその場で飲食をしているというデータもあります。お店への集客効果にもつながっているんですね。すでにアパマンショップさんでも、賃貸の契約につながったという話も聞きました。

―集客方法のひとつとしても活用できるのならば、可能性は大きいですね。

今まで単一の機能しか持たなかった店舗が、『ecbo cloak』のように、別の機能を追加できるというのは、今の時代の流れとして良いのかなと感じています。

>>次のページ:『ecbo cloak』を運営する中で見えてきたギャップとは(2ページ目)

 
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