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イー・ビジョン・酒谷信佳社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―物件の特徴などのコメントも自動生成できるそうですね。

その通りです。不動産広告を見た人が実際に店に足を運びたくなるには、分かりやすく、的を射た説明やコメントが必要です。不動産物件は、価格はもちろんのこと、設備や特徴、周辺地域に至るまで千差万別で、とてもバラエティに飛んだ商品です。

千差万別の物件に対して、消費者はどう選べば良いのか、わかりません。そんなとき、物件や地域の特徴を分かりやすく紹介した説明やコメントがあれば、消費者はその不動産会社を信頼し、足を運ぶきっかけになるかもしれません。

ただ、このような適切なコメントを作成していくのは非常に手間がかかりますし、スタッフの経験やノウハウに大きく依存します。

弊社では、過去に遡る大量の物件情報をもとに、この物件が周辺の類似物件と比較してどのような特徴があるのか、などを自動で説明できるようになりました。スタッフの経験に頼るしかなかったセールスポイントを考えたり、コメントを生成したりする作業の多くを自動化できるようになっています。

例えば、消費者の要望の強い設備や、近隣の似た物件の中であまり設置されていない設備など、物件のセールスポイントとなる項目を調べ、適切なコメントを自動的に推奨します。

―ここまでのレベルにたどり着くまでに、どれぐらいの期間がかかりましたか。

弊社は、不動産業界向けにシステム開発を始めて約15年、人工知能やビッグデータを活用してから3年ほどです。物件入力の省力化、業務効率化については、ほぼ想定通りの成果が出せているのではないかと思います。現在は、ビックデータや人工知能を使って、より効率的に集客できる広告・集客手法を構築するという課題に取り組んでいます。

―つまりコスト効率のよい反響・集客の獲得を目指すということですか。

はい、最新のテクノロジーを活用して、より少ない広告コストで効率的に多くの集客を得ることに取り組んでいます。

今の不動産広告は、スタッフの経験値などで「とりあえずポータルサイトの広告枠を買っている」といった感覚が多いのではないでしょうか。

そういった状態を改善していくために、過去の経験をひっくり返してデータを徹底的に見ることで、反響が獲れる広告の出し方を詳細に分析しようとしています。ad:tech界隈で行われているスキームを取り入れていきたいと考えています。予測データ、結果データなどあらゆるデータから可能な限り自動チューニングされていくようなイメージです。

―なるほど、そのためにデータを蓄積しているのですね。このようなデータから得られる情報はどのようなものになるのでしょうか。

不動産物件は非常にバラエティに飛んだ商品であり、1つの基準で良し悪しを図ることが難しいものです。そのため消費者が、個々の物件の価値を正しく理解することは非常に難しいです。特に中古なんてさっぱり価値が分かりません。そういったとき、やはり周辺の物件と比較して初めて、その物件の良し悪しが分かると思います。

「周りはどんな物件が多いの?」「周りの価格は下がっている?上がっている?」「売れている?売れていない?」といった情報がないと、消費者にとっては価値を図り辛いのです。不動産仲介においても、周りとの比較で価格を出すのが実情でしょう。あとはブランド価値等による変化もありますが、いずれも、全く定量的な世界ではありません。また、不動産の価格は、不動産鑑定士が算出したところで市場価格とは差があります。結局のところ、周りの物件との比較がどうなっているのかが、一番マーケットを動かしている決め手なのではないかと思います。

>>次のページ:イー・ビジョンが不動産業界に向けてサービスを提供する理由(3ページ目)

 
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