遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。

これまでの商慣習や仕組みが劇的に変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。不動産テックに関連する企業経営者や行政機関などに取材し、不動産テックによって不動産ビジネスがどう変わっていくのかを考えてみる。

今回は、空いているスペースを使った物置のシェアサービス『モノオク』を提供するモノオク(東京・杉並区)・阿部祐一社長に話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)

モノオク・阿部祐一社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―阿部社長は現在27歳とお若いですね。ご自身の経歴を教えてください。

大学卒業後、半年間スタートアップのプラットフォームを提供するcreww(クルー)社で、アルバイトをしました。その後、モノオクの前身となるLibtown(リブタウン)という会社をつくり独立しました。

もともとシェアリングエコノミーに興味があり、日本では法人が立ち上がったばかりの『Airbnb』もかなり早い時点で知っていました。だから、「まずは自宅をAirbnbに出してみるか」と考えて民泊事業を始めたんですが、すぐに、2週間の宿泊予約が入りました。1泊8,000円に設定していたので、結構なお金ですよね。

「これはすごいな。シェアリングは大きなマーケットになっていく」と感じたのを覚えています。

―その後、2017年3月に『モノオク』を始めています。『モノオク』について教えてください。

『モノオク』は使っていない部屋や押し入れ、取り壊しが決まっているビルのワンフロアといった余ったスペースを、荷物の置き場所に困っている人に提供するプラットフォームです。長期的に荷物を保管するトランクルームに近いサービスといって良いでしょう。

使い方はシンプルで、難しいオペーレーションも必要ありません。

荷物を預けたい方は、物件を探し、申込みをして、物件登録者とメッセージのやりとりをし、荷物を預けて支払いをすると言う流れです。

今全国で1,200のスペース・物件が登録されているのですが、物件登録が誰でもできることも特徴です。自宅や空き家などのスペースを持っている方であれば、法人・個人関係なく物件を登録することができます。

―一般の個人も物件登録ができるのですね。

『モノオク』には、預けたい方と物件登録者がコミュニケーションを取るメッセージ機能があります。

スペースを貸し出したい物件登録者は、空いているスペースの広さや住所を登録します。それをみた預けたい方は、「○○は預けることはできるか?」などと問い合わせをし、細かいやりとりをメッセージ上でやってもらっています。

―物件登録者はどんな方が多いのですか。

比較的に若い方が多く、30~40代の方がボリュームゾーンです。

一般の方でも、簡単なので小さな副収入を得られる、副業としてやるには最適なサービスだと思っています。民泊ほど大きく稼ぐことはできませんが、それ以上に手間かからず収入を得ることができる。

また、民泊のように近隣住民への配慮が必要になるケースは滅多にありません。貸し出す側の負担が少ないサービスだと思います。

―預けたい方の登録数はどれぐらいあるのでしょうか。

現在、預けたい方の登録は約4,000人です。

利用者によって大きく2パターンがあることが分かってきました。

1つ目は、数カ月から半年といった短期利用の方です。これは海外転勤や出張、引っ越しやリフォームなどで利用され、一時的に荷物の置き場所に困っている方の利用です。

2つ目は長期間継続的に使われる方です。個人事業主の方が、書類や仕事道具を預けられたり、趣味のモノを預けたりするケースなどですね。こういった方々はモノの出し入れが多くても1カ月に1回程度です。まだ本格的なサービス稼働を始めて1年ほどなので、これから変わることもあると思いますが。

>>次のページ:業界にシェアリングの理解が進めば空き家・空室対策が変わる(2ページ目)

 
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