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マンションマーケット・吉田紘祐社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

リクルートから不動産会社へ。そこで感じたギャップとは

―吉田社長が不動産会社を起業して、感じた業界への疑問やギャップはありますか。

まずは「やっぱりまだまだ遅れている」という感覚があります(笑)。「こんなにFAX使うんだ」とか(笑)。

想定していなかった部分でいうと、毎日使うサービスと比べれば、不動産に関連するサービスは使用頻度が少ないことですね。認知を広めてサービスを利用してもらってもリピートしていただくことが少なく、一気に浸透させて多くの方に利用してもらうのは難しいなと感じています。

―一般の人が不動産の売買する機会は、人口減や首都圏不動産の高騰などによって今後さらに減っていくかもしれませんね。

全体の流通量は減少傾向にあります。でも新築物件の供給が減っていっているので、相対的に中古の流通量が多くなっていくのではないでしょうか。

また、『マンションマーケット』などによって価格が明らかになることで、海外の投資家などにも日本の中古不動産の価値が伝わり、新たな流通促進が生まれるかもしれないと考えています。当社としても海外事業部を立ち上げています。

私たちは、もっとカジュアルに不動産売買ができるような世の中を目指しています。

そのためには出口の価格が分かっていることが重要だと思っています。購入の時点で売ったときの金額がなんとなく分かっていると、欧米のような頻度で売買をすることもできるのではないでしょうか。そういった部分でも『マンションマーケット』の価値が見出せればと思っています。

また、誤解を恐れずに言うならば、「現在の日本の不動産取引には構造上の欠陥がある」と思っています。

両手取引がOKで、情報の囲い込みができてしまう。

売上を伸ばそうとすると手数料率を上げないといけない。手数料率を上げようとすると、両手取引するしかない。そうすると、「囲い込みしましょう」となりがちな業界です。

これを、両手取引を禁止する、違反者への厳罰化などをしなくては、構造的に変わらないと思っています。

私たちがやっているエージェント制がスタンダードになれば良いと思うのですが、現状では難しい。手数料率に固執するのであれば、上限なども撤廃してしまって、自分で値付けをするべきだと思っています。

―上限をなくしたときに、いくらの料率が望ましいのでしょうか。

上限額があることで、サービスの質をどれだけ高めても報酬は決まっている。サービスの質が高まらないのです。むしろ、質が落ちていく構造だと思います。

だから、上限を撤廃してしまえば、良いサービスを提供していれば高い手数料は当然だし、高い手数料をいただくためにサービスの質も向上していきます。逆に、サービスの質は低いけれど、安くできるなどの方向性もあると思います。

当社はフルサービスでやっておりまして、全てのお客様をハイヤーでお出迎えして、接客しています。ただ、手数料は300万円です」ということでも良いわけです。

古い時代に作られた法律の上でやっていますから、問題点は多い。ただ、私たちのようなベンチャー企業が、新しいスタンダードを作っていくことで、それに共感してくれる方も広まってきています。そういった動きを民間からやっていきたいと思っています。

―今後の目標はありますか。

『マンションマーケット』は日本全国の情報を提供しています。しかし、現在はまだ反響があっても対応できるのは東京を中心としたエリアに限られています。

(画像提供=マンションマーケット)

やはり全国、より多くのエリアをカバーできるようにしていきたいと考えています。これはできるだけ早めに行っていきたいと考えておりまして、自分たちの直営という方法もあるでしょうし、地域の不動産会社さんにパートナーになってもらうかたちもあるかもしれません。

早く対応できる体制を整えたいと考えています。

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