遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。

これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。

不動産テックに関連する企業経営者や行政機関などに取材し、不動産テックによって不動産ビジネスがどう変わっていくのかを考えてみる。

今回は、駐輪場シェアサービス『みんちゅう』を提供するアイキューソフィア(東京・新宿区)・中野里美社長に話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)

アイキューソフィア・中野里美社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―サービス『みんちゅう』に付いて教えてください。

『みんちゅう』は駐輪場のシェアサービスです。2017年9月から本格的に活動を行っています。

自転車1台分の土地やスペースを持っているオーナーに物件を登録してもらい、利用者はインターネットやアプリで見つけて予約します。土地が余っている人と使いたい人をマッチングするサービスです。

自転車1台のスペースは、幅50cm×長さ200cmを推奨としています。立地条件にもよりますが、自動車1台分のスペースで自転車を10台ほど停めることができます。

(画像提供=アイキューソフィア)

―使われていない土地のシェアリングにはニーズが多いですね。どういったところから思いついたのでしょうか。

発端は「不正駐輪をなくしたい」という思いから始めました。

不正駐輪に悩んでいる人や地域がたくさんあります。そこを、『みんちゅう』で予約専用の有料スペースにすることで、不正な駐輪がなくなる。より良い街づくりにつながります。

すでに自治体との取り組みも始まっていて、2018年2月には神奈川県の大和市と協定を結んで一緒に不正駐輪撲滅に取り組んでいます。大和市は、地方自治体の政策コンテスト「行革甲子園2018」で、全国117の自治体の中からベスト8に評価されました。

大和市の近隣の自治体や、東京都内の自治体からもお問い合わせをたくさん頂いています。

アイキューソフィア・中野里美社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―不正駐輪はどれぐらい影響があるものでしょうか。

行政が把握しているのは、指定区域を巡回して撤去や警告札した数値です。私有地に停められたものの多くはカウントされません。正確な統計がないのですね。それくらい蔓延している問題だとも言えます。

また、自治体が追加で駐輪場を作るにもコストが発生してしまいます。駅の近くに機械式の駐輪場を作るには、1億円ほどの費用がかかるといわれています。

取り締まる一方で、じゃあどこに停めたら良いのか、場所を提供できないという板挟みな状況だったんです。

―今、駐輪場の数はどれぐらいあるのでしょうか。

関東エリアを中心に、全国で約300カ所ほどあります。

―駐輪場を利用するユーザー登録はどれぐらいあるのでしょうか。

ユーザーは5,000人以上です。

大和市では約200台分のみんちゅう駐輪場がありますが約50%が稼働している状況です。平日のみだともっと稼働率は上がる状況です。

―サービスを利用する流れを教えてください。

『みんちゅう』はアプリからの利用が多いです。

利用したいエリアの地図を表示して、駐輪場の場所にあるピンをタップすると、駐輪場の写真や簡単な情報が出てきます。

駐輪場の住所や金額、注意事項を確認していただき、駐輪したい日時を指定、予約フォームを入力すると決済が行われ予約完了です。入力の際、防犯登録番号や任意で自転車の写真をアップロードしていただきます。

―スペースを提供するオーナーはどうやって登録するのでしょうか。

オーナーもユーザーと同じくアプリから登録ができます。

アプリ上のメニューに、「借りる」「貸す」という選択肢があり、オーナーが新規登録する場合は、「貸す」を選択して必要な情報を入力していただきます。

「月極」「時間貸し」などの形態を選んで、住所を入力していただきます。そして注意事項や、何台駐輪できるのかといった項目、いつから貸すか、利用可能時間帯、料金などを設定いただき、最後に駐輪場全体の写真と駐輪場周辺の写真、そして車室の写真を入れていただくと登録は完了です。あとはユーザーを待つだけです。登録は10分ほどで終わります。

また、アプリから登録している駐輪場のリスト一覧や、予約件数の確認をすることも可能です。何時から何時までの利用か、何番車室にどの防犯登録番号の自転車が停まっているのかといった情報も出てきます。

オーナーは駐輪が発生した際に、貸出料金の65%が収益となります。

中には70台分のスペースを登録されている方もいますよ。

(画像提供=アイキューソフィア)

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