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リーウェイズ・巻口成憲社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―まだ外部の方に提供を開始して1年ほどですが、大手不動産会社や金融機関の導入が増えていますね。

金融機関はスルガの問題がきっかけになりました。監督官庁からの指導が厳しくなっているんです。

今までは、プロセス調査で十分でした。ところが問題発生以降は金融庁職員がアパートの現地まで足を運び、「去年は100%稼働での融資だったのに1年で60%まで入居率が下がっている」といった現状まで確認しているという話がある。

そこまで見るようになってきたので、賃料の妥当性や将来の家賃下落や空室率分析を銀行にも求めているようです。

でも、そんなノウハウやデータは銀行内には当然ありません。そこで、当社に様々な銀行からお問い合わせをいただけています。

今は金融機関、不動産会社を中心に80社ぐらいで導入いただいています。

―どういったデータを収集しているのでしょうか。

自分では「今までゴミだと思っていたものを宝物に変えた」と思っています。不動産業界は、成約価格だけが重要で他は何の価値も無いと思っていた節があります。ただ、成約価格は重要な指標の内の一部でしかないんです。

だから賃貸の募集価格にフォーカスしたんですね。

募集価格は、大量にあって、品質調整されている価格です。築年数や立地によって家賃は変更されますよね。この膨大なデータの関係性を分析すると、空室率や下落率を算出できるんです。この重要性に誰も気が付いていなくて、捨ててきたデータなんです。我々はそれを10年以上蓄積しています。

―不動産の中でも投資はグレーな業界だと言われています。その理由は何だと思いますか。

やはり、透明性が低いからです。情報を出さないから、信頼されないわけです。

それは他の業界でも同じです。昔、証券業業界は「株屋」と言われていて、いかに投資家からの手数料を取るかが証券営業マンの腕の見せ所という時代があったんです。

その結果、一般の人は「証券って怖い」「株屋には近づきたくない」というイメージがありました。しかし、2000年の金融ビッグバンを皮切りに、ネット証券が台頭して透明性が高まった結果、今では主婦でも学生でも安心して株式投資できるマーケットができましたよね。このおかげで、証券業界は20年間でマーケットが6倍になったんです。不動産業界もこうした事例に向き合わないといけません。

胡散臭いと思われるのは、情報を隠しているからに他ならないんです。情報を開示していくと、マーケットが拡大するチャンスは十分あるんです。

今、日本の不動産投資家って327万人しかい。総人口の2.5%の人しか不動産投資をしていないんです。これは少なすぎます。例えば香港では、総人口800万人で、不動産投資家は400万人いるんです。人口比率の50%です。

これを見ても、日本の不動産投資は信頼されておらず、まだまだ未成熟だと言ってよいでしょう。でも、透明性が高まったら、日本でも投資家が5~600万人に増えることは十分にありえますよ。

日本の建築水準は世界No.1だし、東京圏の人口規模は世界No.1だし、東京のGDPは世界No.1です。そういうポテンシャルを考えると、不動産投資家が600万人になるだけで、単純計算ですが、マーケットが2倍になるじゃないですか。そしたらビジネスとして十分に成り立つという話ですよね。

その入り口として投資分析がちゃんとできることは重要だと考えて、『Gate.』に繋がるわけです。

リーウェイズ・巻口成憲社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―『Gate.』が不動産投資のプラットフォームになって便利になる一方で、不動産投資の窓口が『Gate.』1本になってしまうことには抵抗がある人達も出てくるのではないでしょうか。

我々は、オープンで透明性のあるワンプラットフォームができるとは全く思っていません。不動産業界はそもそも情報を隠したい人達の集まりですよね(笑)今更、オープンにすることを訴えてもしょうがないです。

だから、我々はサービスをカスタムしてその会社専用にして提供しています。

だから隠したい情報があるなら、その会社のシステムの中で閉じて使えば良い。それでも、『Gate.』によって各社の情報分析が集中管理され、分析の精度が上がれば、一般の投資家に無茶な提案もできにくくなります。それが結果的に透明性の高いマーケットを実現すると考えています。

―リーウェイズでは実際に不動産事業も行っていますよね。

今年で完全に撤退する予定です。

元々『Gate.』を作ろうと考えていた事業計画から、2018年に撤退すると決めていました。

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