2019年04月01日
不動産テック

不動産価格の推定は永遠の課題(2ページ目)

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本間純氏(右)撮影=リビンマガジンBiz編集部



ーそういった非効率を正すために新しい査定の仕組みが期待されているのに、期待外れに思えますね。


北崎 アメリカではiBuyer(※6・アイバイヤー)と総称されるのですが、売り物件を集めるための査定ではなくて、AIで査定した価格で買い取るというサービスも出てきています。価格推定の力を使い、より大きくマネタイズできるモデルになっている点は新しいと思います。


※注6=iBuyer…人工知能アルゴリズムで推定した価格で不動産を買い取るサービス。


本間 だから日本でも「すむたす」(※7)は、非常に新しい試みではありますよね。ただ、購入するための資金が続くのかは大きな問題です。米国でのOpendoor(※8・オープンドア)も同様で大きくお金を張らなければいけないモデルです。アメリカほど資金調達環境が恵まれていない日本でどれだけできるかも興味深いです。


※注7=イエウールやイタンジなどで不動産メディアに関わった角高広氏が作った会社、住宅買い取りサービス。最短2日で現金を振り込むというスピードで注目されている。

※注8=人工知能で価格を査定する住宅買い取りサービス。 


北崎 そして、仕入れた物件を売り続けなければいけない。売る力があるかどうか。難しいことも多いと思いますが、チャレンジを高く評価したいですね。


本間 日本でも不動産テックという言葉が生まれる前から価格推定についての試みはありました。2008~2010年頃、私が社会人大学院にいた時、研究室では住宅の賃料について、価格推計サイトを作る実験が行われていました。特定のエリアがどのくらいの賃料かヒートマップのように可視化したものです。


その時はクローリングした情報をもとにしていたんですが、自社ホームページに物件情報を掲載していた複数の不動産会社からたくさんのクレームが入ったと聞いています。だから、価格推定については、いつか来た道くらいに少し冷めたまなざしで見ています。ただ、単独でやるのと、多くのプレイヤーが参加して、取り組むことには大きな違いがあるのかもしれません。価格が広く公表されることやクローリングについて、以前ほどの抵抗はなくなってきているように思います。


北崎 クローリング技術が汎用になったことと、心理的な慣れがでてきたのはありますね。


本間 ええ、もうしょうがないというか(笑)。社会的な利益がコストを上回ってきたのはありますね。三歩進んで二歩下がるという感じであれば、少しずつでも前向きな傾向とも思えます。グレーがホワイトになっていく課程なのかもしれません。ただ、それでもA Iを過信するのは時期尚早だとは思います。


北崎 価格推定に関してさらに言うと、AIをフル活用しているZillowは後発サービスのRedfin(レッドフィン)に推定精度で負け続けている。これには、いろいろな理由があるのですが、大きな要因の1つがレッドフィンがリアルなエージェントを全米各都市に抱えていることです。


最後は人間が交渉して値ごなししてくれるという身も蓋もない話ではあるんですが、今でも重要なのは現地のマーケットを熟知する人間だということです(笑)。ZillowのCEOが自宅を売却しようとしたら、自社のサービスよりレッドフィンの方が精度が高くて、業界で大きなニュースとなった。このエピソードが1つのきっかけになり、Zillowは自社の所有するデータを公開して、新しい価格推定の方法を探すためのコンテストを始めました。日本よりもはるかにデータが整ったアメリカでもまだこの段階です。



ー比べると日本はまだ黎明期ですらないのかもしれません。


北崎 精度が劣ると言われるZillowであっても、機械学習を用いて一晩で700万~1,100万通りの計算をすると言われています。日本に、このレベルで取り組んでいる企業はないと思います。それでもZillowの精度は5%前後の差があると考えられています。不動産価格の推定が、どれだけ難しいことなのかお分かりいただけると思います。


本間 それでも、データがあるからこその話で、日本の状況に比べれば、贅沢な悩みに聞こえますよ(笑)。



▶次のページ:書籍「不動産テック 巨大産業の破壊者たち」はどう読めばよい?(3ページ目)


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