FANTAS technology・國師康平社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部

―FANTAS technologyがクラウドファンディングといったテクノロジーを活用するきっかけは何だったのでしょうか。

日本は諸外国に比べて不動産投資の敷居が高いです。そして、ローン借入を敬遠する方が多い。1口1万円から参加可能でかつオンライン上で完結する形の不動産投資のサービスを提供することにより、その敷居を下げ、不動産投資をより身近に感じていただきたい。そして、参加いただける方が増えれば、当社もマーケットの健全な活性化に貢献できるのではないかと思ったのがきっかけです。

また、金融機関による不動産融資だけでは、市場の成長が支えきれなくなっているという事実も大きなポイントです。『FANTAS funding(ファンタスファンディング)』では、ワンルームマンションだけでなく、戸建の空き家再生物件も提供していますが、空き家は、古い建物が多いので、所有者は銀行からローンを借りることができずに、そのままどんどん老朽化が進んでしまう。銀行が担保価値を認めない、ただそれだけの理由で、価値ある資産が埋もれていくのは、所有者にとっても地域社会にとっても、大きな損失です。

不動産投資への敷居を下げるだけでなく、投資家の皆様からの出資金でそういう不動産に光をあて、日本の不動産市場をどんどん元気にしていきたい。今後は、空き家にとどまらず、民泊物件、シェアハウス、アパートなど一部の不芳事案を契機に、金融機関が一律に敬遠してしまっている種類の不動産も、しっかりとその価値を見定めた上で取組んでいきたいと考えています。

―『ファンタスファンディング』の調達額はどれほどなのでしょうか。

2019年6月時点で、累計46プロジェクト、累計募集金額も6億円を超えました。1億円前後の募集でも開始1分程で資金が集まるほどで、注目度も高く順調に伸びていると感じています。

不動産投資に興味を持っていただくきっかけになっているのであれば、嬉しく思います。

「ファンタスファンディング」 画像提供=FANTAS technology

―國師社長は大学卒業後、大手不動産会社で営業を経験し、起業しています。

不動産業界はマーケットが大きい一方、IT化がほとんど進んでいない状況で、もっと効率化できる部分があると感じたことが起業のきっかけです。

なかでも収益・投資不動産業界は、電話などの非効率な営業方法がメインだったことや不動産特有の高い属人性、紙媒体に依存している点などテクノロジーを使うことで改善の余地が大きいと考えていましたし、今も、イノベーションを起こすために様々な挑戦を行っているところです。

さきほどご説明した『FANTAS check(ファンタスチェック)』はテクノロジーを使った新しい仕入れの仕組みですし、デジタルマーケティングを活用しながら『FANTAS funding(ファンタスファンディング)』や『FANTAS study(ファンタススタディ)』でユーザーを育成していくという営業手法にも力を入れているのは、そのためです。

また、従来は営業担当者の感覚や偏ったデータに頼っていた部分を、自社開発したCRM(顧客管理ツール)を使って、データを蓄積し、会社単位で有効に活用することで効率的に集客、商談、成約に繋ぐ流れを作っています。

これからの不動産業界では個人の力量に頼ることなく、会社・組織として全体を良くしていく視点が不可欠です。

営業担当個人が持っている情報も、社内に共有する。情報を個人で独占したつもりでも、顧客はインターネットで膨大な情報をみています。いろいろな情報がオープンになっているにもかかわらず、提案する側だけ個人で囲っていても意味がありません。

全てがオープンになったときに、どれだけ価値を出して他社と差別化ができるのか、「この会社と付き合った方が良いな」と選んでもらえるかで勝負しなければなりません。

▶次のページ:データのオープン化が、不動産業界の健全化に繋がる(3ページ目)

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