2019年11月29日
不動産テック

サービシンク・名村晋治社長 賃貸仲介のクロージングをコミュニケーションで支援する

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遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。


今回は、仲介営業のクロージングを支援する「アトリク」を提供しているサービシンク・名村晋治社長に話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)




サービシンク・名村晋治社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部



―提供しているサービスの概要について教えてください。


当社が提供している「アトリク」は、賃貸仲介の追客・クロージングを支援するチャットツールです。顧客とのコミュニケーションをメールより早く、電話の「つかまらない」「出ない」を解消するサービスです。


ポータルサイトや自社サイトなどから反響が来ると、不動産会社は電話・メール・FAXで追客を行いますよね。しかし、これらの手段では顧客と繋がらないことが多いのです。


まず、FAXを持っている人はほとんどいません。電話も登録されていない番号からの着信を取る人は少なくなっています。


そこで、メールが選ばれるのですが、これすら数年前とは状況が変わっています。

まず、携帯会社のキャリアメールを使っている人はほとんどいません。Gmailなどのウェブメールを使っている方が多い。しかし、ウェブメールにメールを送っても、スパムメールやメルマガなどに紛れてしまいます。読んでいるのか分かりませんし、返事が来る可能性も低い。



―電話やメールで顧客と繋がることが難しくなっている。


それだけではありません。

不動産会社は、顧客に送るメールを長く丁寧に書いています。お客様相手なので当然かと追うかもしれませんが、店舗での接客時は顔を見ながらフランクに話していたのに、メールになると形式やビジネスマナーを踏襲して、かしこまった内容になっています。


多くの営業担当者は、店舗の営業時間が終わった後に、長時間を費やしてメールを作っています。しかし、返事が来ない。しばらくして電話すると「別の会社で決まりました」といったことも少なくありません。


そこで、一部の不動産会社では、若い方のコミュニケーションツールになっているLINEやFacebookメッセンジャーといったチャットツールを使ってコミュニケーションを取っています。チャットなら相対の接客と同じように、くだけたコミュニケーションができ、メール作成に費やしていた時間もなくなります。


ただし、ここにも問題があります。

顧客が女性だった場合、不動産会社の営業担当者とLINEなどの連絡先交換をすることには、かなりの抵抗があるようです。


当社でアンケートを行ったところ、8割以上の女性が「LINE-IDの交換」に抵抗があるという結果が分かりました。



【アンケート】店舗スタッフの方と個人のLINE-IDを交換するのは抵抗がありますか?


物件情報の紹介をLINE(ライン)でするのは あり?なし?全国の10代〜30代の337名の女性に聞きました!より



不動産会社に限らず、LINEやチャットに関連したトラブルはたくさんあります。そういった報道やニュースから、特に女性は不動産会社と連絡先を交換することに抵抗を感じているようです。



―不動産会社と個人的なチャットツールで繋がるには心理的なハードルがあるかもしれませんね。


不動産会社からしても、営業担当が個人的なチャットツールで顧客と繋がることは、コンプライアンス上の問題が起きたり、個人情報流出のリスクが高かったりします。店長や責任者が、営業担当と顧客とどういったやりとりをしているかを管理することができません。


当社の「アトリク」は、不動産に特化したチャットツールです。顧客とチャットを使ったコミュニケーションができ、その内容を店長や責任者が全て確認できます。問題が発生すればすぐに分かるようになっています。




画像提供=サービシンク



また、通常のチャットツールでは、物件情報や物件写真を送っても、送信順の時系列で並ぶため、後で見たときに、情報が煩雑で営業担当者も顧客も混乱してしまいます。


「アトリク」なら、紹介した物件をタブで管理することが可能で、物件ごとの情報をまとめて見ることができます。また、紹介したい物件を選んで送ると、自動的でスマホに対応した物件カードのような見栄えで送れます。


これまでの、メールや電話、チャットツールでは、かゆいところに手が届かった機能はすべて入っています。



―チャットの方が、顧客からのレスポンスが良いのでしょうか。


チャットで「この物件どうですか?」という質問なら、顧客もすぐにイエスorノーで答えられます。しかし、メールで返信となると面倒に感じる方が多いでしょう。


営業担当者も長いメールを書く必要がなくなります。それよりも、チャットで接点頻度を高くして信頼関係を作ることができれば、成約率も上がる。


さらには、「ここまで追客して駄目なら、これ以上はお客さんを追いかけない」という見切りも早く付けられます。メールだと返事がなく、いつまで経っても白か黒か分かりません。



―名村社長は、元々ネクスト(現:LIFULL)にいらっしゃいました。そのときから「アトリク」の構想はあったのでしょうか。


私は2000年から5年間ネクストにいました。

そのときから「不動産会社と顧客のコミュニケーションは、電話やメールから次の手段はないのか」とずっと考えていました。


しかし、当時はそれを実現するインフラ=デバイス(機器)がありませんでした。

2000年前半の携帯電話は、あくまで電話の機能がメインで、メールも画像のやり取りもまだまだ貧弱でした。


そしてスマートフォンが出て、インフラやネットの速度が追いつき始めたと感じた2015年に、「アトリク」の前身となるサービスを出しました。


不動産イベントにも出展したのですが、まだまだ時代が早かったですね。不動産会社の反応がとても悪かった。そこで2016年にサービスを閉じ、2018年の5月に再びリリースしました。



―2018年に再びサービスをリリースした理由はなんでしょう。潮目の変化があったのでしょうか。


はっきりではありませんが、「不動産会社にITリテラシーの醸成ができた頃合いかな?」と感じました。


2017年の秋に、「アトリク」の再始動プロジェクトを立ち上げた段階で、顧客とのコミュニケーションがメールや電話に戻ることはないと思いました。LINEやFacebookメッセンジャーがコミュニケーションのスタンダードになっていたからです。


エンドユーザーがどんどんチャットでのコミュニケーションにシフトしている中、不動産会社はこれからどうやって顧客を囲い込んでいくのか。チャットを使わざるを得なくなってくるだろうなと感じましたね。


もうひとつ、2018年に不動産テック協会が設立されたことも大きな要因でした。

2017年は、「不動産テック」という言葉がまだ広く認知されていませんでした。正直、今のように不動産テックが注目されるとはその段階では思っていませんでした。しかし、2018年に協会が設立し、理事として関わる中で今では「不動産テック」が大きな流れになってきています。


そういったタイミングに上手にあわさり、「アトリク」に大きな商機を感じています。



次のページ:今後、不動産会社に立ちはだかる課題とは(2ページ目)


  

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