2020年04月10日
不動産テック

中古流通が増えればエージェントの腕が試される TERASS・江口亮介社長

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遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。


不動産テックに関連する企業経営者や行政機関などに取材し、不動産テックによって不動産ビジネスがどう変わっていくのかを考えてみる。


今回は、不動産エージェントとエンドユーザーのマッチングサービスのリリースを予定しているTERASS(テラス・東京・港)の江口亮介社長に聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)



TERASS・江口亮介社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部


―不動産営業担当者と購入検討者が直接つながるサービス「Agently(エージェントリー)」をリリースするそうですね。開発にいたった背景を教えてください。


今後、不動産売買市場には2つの流れが生まれると考えています。


1つは中古流通の時代です。

2017年、首都圏市場のレインズの登録物件数で、中古が新築を逆転しました。

日本全国においては新築7割・中古3割と、まだまだ新築が堅調です。しかし、今後は良い中古物件がストックされ、リノベーションの技術も向上していくため、欧米のように中古住宅の流通割合が増えていくでしょう。中古不動産流通は日本に残された成長産業のひとつになるはずです。


そこで中古流通についてビジネスを考えていくと、新築と中古では売買する時の難易度が大きく異なります。中古不動産には様々な選択肢があり、そのなかでお客様が満足する提案をしなければならないため新築提案よりも難しい。つまり、中古流通の時代になればなるほど、不動産仲介営業社員、当社では不動産エージェントと呼んでいますが、その役割が非常に重要になってくると思っています。これが、2つ目の個人の時代になるという予測です。


実際に不動産流通の9割が中古不動産のアメリカでは、不動産エージェントは医者・弁護士と並んで、人生において大切な存在であるという認識があります。一方、日本では不動産会社は何だか怪しい人たちと感じられている。その落差を是正したい。


海外で社会的地位が高い不動産エージェントが、日本では地位が低い。その理由の1つは中古流通が少ないからだと見立てています。アメリカは中古の取引件数や紹介率、買い替え率も高い。日本は平均して1.9回しか買い替えませんが、アメリカは2.8回と多いです。


アメリカと日本のGDPは4倍の差ですが、不動産マーケットは9倍の差があります。



―今後、不動産エージェントの個の力が重要になってくる。


物件情報を右から左に流すだけの不動産エージェントは、AIなどのテクノロジーに代替されて行くと思います。しかし、顧客の希望の暮らしに対して、「この物件が良いんですよ。検索条件に引っかかっていないですが、こういう視点で見ればぴったりな物件です」と、機械にできない提案ができるエージェントは一定数存在しています。そういった人たちに活躍してほしいと思っています。


これまで、一般の人がそういった不動産エージェントと繋がる術はなかった。物件に問い合わせて、たまたま付いた担当者の手腕に左右されていた。


長期間にわたって住宅を探しているのに、満足する住まいが購入できないのは営業担当が優秀ではないから、という事例は多いです。顧客の希望条件を十分に満たす物件がないなかで、条件を整理しマーケットから最適な物件を提案できる人と出会えていない。


そういったなかで「Agently」(エージェントリー)の構想が生まれました。



―詳しく教えてください。


当社が2020年春にリリースを予定している「Agently」は、「家探しは、いいエージェント探しから」というコンセプトのエージェント提案型家探しサイトです。


エンドユーザーが「Agently」に家の希望条件を登録すれば、匿名の状態で登録している不動産エージェントに公開されます。そして希望条件に沿った提案を受けられます。




「Agently」 画像提供=TERASS



アメリカではMLS(アメリカ版レインズ)によって物件情報が完全にオープンになっているため、情報を見つけることに価値はありません。むしろ、見立てや価格交渉といったエージェント業務が重要になってくる。


一方、日本ではまだまだ物件情報に価値があり、両手取引を認めているレインズの仕組みがある以上、しばらくは変わらないでしょう。そのため、単にエージェントを探しましょう、では難しいと思っています。


未公開物件はなくなりません。また未公開物件を持っている人は、両手取引をしたいと考えることも、悪いことではないと思っています。一番いけないことは囲い込みです。未公開物件を無視できないなかで、それならば未公開情報を持つエージェントと購入検討者を効率的に繋げ、円滑な取引ができるようにしたいと考えました。また、家を探している人が複数のエージェントから同時に提案を受けることが、家探しにおいては重要だとも感じています。


また、エージェントがメッセージを送るのは無料です。

マッチングしたとき、物件の内覧や面談のタイミングで課金しています。ゆくゆくは、成約課金など様々なプランを用意する予定です。


良いエージェントに活躍して欲しいという思いもあります。顧客とのやりとりや送ったメッセージへの顧客からの返信率、面談後の満足度、成約数などを計りながら、良いエージェントであることをデータ上で証明していきたいと思っています。



―顧客とエージェントのやりとりをデータで分析し、良いエージェントを見つける仕組みですね。


以前、私はSUUMOでカスタマーサーベイという、ユーザーからの口コミを集める部門でプロデューサーをしていました。年間数万件の口コミが集まるのですが、寄せられる評価はほとんどが満点に近く高すぎるため、相対評価をするには不十分だと感じていました。



なぜ上がってくる点数高すぎるのか。それは、不動産会社が顧客にはがきを手渡しして、口コミを書いてもらう仕組みだったので、「この人は、きっと満足したな」と思える人にしか渡していなかった。それに成約した直後など、顧客が一番ハッピーなときにしか渡さないこともあった。また、そもそも嘘の口コミも多かった。これでは、意味がない。


第三者の目線で様々なデータを分析しなければ、本当に優秀なエージェントは見つからないと感じています。



次のページ:ありもしない理想の家を探し続ける仲介営業は優秀ではない(2ページ目)


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