2020年05月01日
不動産テック

コロナショックは欧米不動産テックにも甚大な影響を与えている(2ページ目)

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eqon・三井將義社長(取材は2020年4月23日に通信環境で行った)


―不動産事業者にはどういった選択肢があると考えますか。


それには、アメリカの不動産業界の動きがベンチマークになると思います。


アメリカの大手不動産テック企業のRedfin(レッドフィン)は、2020年4月に登録エージェントの41%をリストラしました。


また、アイバイヤーとしてアメリカ最大のサービスを提供しているZillow(ジロウ)が、アイバイヤーをやめて、VR内見などのテックサービスの拡充に大きく舵を切りました。


こういったことは、日本の不動産マーケットでも起こりえることだと思います。



―今後ますます遠隔提案や電子契約といったテクノロジーの活用が求められるのでしょうか。


ITやテクノロジーに対応できる会社と、できない会社にはっきり分かれていくと思います。


日本の不動産業界にいる多くのプレイヤーは、これまでITやテクノロジーを見てこなかった。対面での接客がなくなっているなかでは、オンラインが勝負になってくると思うのですが、戦い方を知らない方がかなりの割合です。今後は、オンラインでの接客や提案、営業は定石になっていくでしょう。


ただ、今回の新型コロナウイルスによって、事業者の精神構造にも変化が起こっていると感じています。



―それはどういった部分でしょうか。


当社が2019年9月にリリースした「PinRich(ピンリッチ)」は、購入や売却を検討している顧客に対して、希望エリアや対象物件周辺の最新の成約・売出事例を自動でメールを送ることで、追客を行うサービスです。




「PinRich」 画像提供=eqon



顧客と電話が繋がらない、メールの返事がないといったケースでも、「PinRich」で自動的にメールを送り、顧客のリアクションを把握し、意欲的な顧客を見つけることができます。


現在150の担当者に利用頂いていますが、4月以降、不動産事業者からの「サービスを使いたい」という問い合わせが増加しています。新規反響がないので、過去の顧客から売上を上げていきたいと考えているようです。



―過去の顧客を掘り起こしたいというニーズがあるのですね。


例えば、5年~10年前に不動産を購入した顧客が、今は売却を検討している可能性があります。ただ、10年前の顧客にいきなり電話するのは、営業社員の心理的な抵抗感もある。そこが「PinRich」ならば自動で行うことが可能です。


また、過去に成約した顧客に対してもコミュニケーションを取るためのきっかけ作りとして「PinRich」を利用いただくケースもあります。


不動産事業者もなりふり構っていられない状況なので、過去に購入した顧客にもメールを送り、売却相談などを獲得しています。


アメリカのエージェントでも、自身の友人や家族、過去の繋がりといったところから案件を作ろうとする会社が多いですね。


アメリカの大手不動産会社のケラー・ウイリアムズは、広告費を一切使わないことで有名です。なにをやっているかというと、1店舗当たりにものすごくたくさんのエージェントが登録していて、そのエージェントが、四半期に1回、家族や前職で取引のあった人に「最近どうですか?」というメールを送って案件を取ってきます。



―事態に窮した不動産会社が陥ってしまう間違いはあるのでしょうか。


マーケティングコストを間違った方向にかけてしまうことです。


つい最近、ある不動産事業者から「オウンドメディアを立ち上げたい」という相談がありました。恐らく新規案件獲得などに困ったなかでひねり出した案だったのでしょう。


また、自社HPの拡充や、自社ポータルサイトを作りたいといった相談も多いです。しかし、「やめた方が良い」と私個人は考えています。


オウンドメディアも自社HPも自社ポータルサイトも、成功するのはごく一部の企業だけです。そういったことに注力するのであれば、今ある不動産テックと呼ばれるサービスで何ができるのかを調べて、真剣に考えて欲しいと思います。



―コロナ禍においてテクノロジーによって提供できる価値とは何でしょうか。


新規反響が取れない局面においては、過去の顧客への追客が注目されています。


今、追客案件を商談化することは難しい。しかし、コロナが終わった後には必ず反動増があります。


そこをしっかりと刈り取れるように、まずは顧客のデータを整備することが大切だと考えています。今は耐えの時期です。いかにアフター・コロナでの初速を高めていくかが重要です。



eqon・三井將義社長の過去インタビューはこちら


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