
Geolonia・宮内隆行社長(取材は2021年2月9日に通信環境で行った)
―様々な地図データを活用するなかで、課題となっている点はありますか。
都道府県ごとに公開されているデータにばらつきがあることですね。
東京都や静岡県などは、積極的に公開していますが、いくつかの自治体は7~8年遅れている感覚ですね。
―なぜ、Geoloniaの事業を始めようと思ったのでしょうか。
私はもともと、WordPress(ワードプレス、※1)のオープンソースプロジェクト(※2)に開発者として参加していました。
※注1=無料で利用できるコンテンツ管理システム。2019年には全ウェブサイトの35%以上のシェアを持っている。
※注2=技術やソースコードを商用、非商用の目的を問わず利用・修正・配布できるソフトウェアの開発手法。
オープンソースプロジェクトに関わることは、とても名誉で、刺激的なことでした。海外のエース級のエンジニアとのやりとりが当たり前のようにできますし、世界的な大企業のエンジニアたちと仕事をすることができた。誰でもその価値を享受できるオープンソースは素晴らしい。
オープンソースのなかには地図開発のチームもあります。位置情報が関係する産業も広い。なんとなくオープンソース繋がりから興味を持ち、個人レベルでも地図が作れそうだと考えて、やってみると本当にできたんです。日本に同じようなことをしている企業もなく、腰を据えて取り組むためにGeoloniaを始めました。
―オープンソースというのは、誰でも自由にその技術を活用できるというものですね。日本にはなかなか根付かない文化だと感じます。
日本はオープン化の点で遅れていて、結果として技術レベルも低くなっています。全体の技術力が低いから、数少ない技術をクローズして囲い込む、ロックインに繋がっています。
Facebookは、自分たちは世界一のオープンソース企業だと公言しています。実際に、自社のサイトを運用するためのエンジンをオープンソースとして公開しています。だから、ソースをコピーしてFacebookを作ることは簡単です。だけど、やってみてもFacebookのような拡がりは生まれません。10億人を超えるユーザーがいて初めてFacebookになります。本当の価値というのはソースコードには無いんですよ。
だから、ソースコードをロックインするというのは大工が、自分が生き残るために釘の打ち方を弟子に教えないといったレベルの話にしかなりません。
―オープンソースにすることで、より大きな利益を享受できる。
当社でも、外資系の天気予報サービス企業のエンジニアがソースコードの修正提案をしてくれたことがありました。世界中の優秀なエンジニアが当社のソースコードを使ってみて、もっとよくする方法をフィードバックしてくれるんです。「ここがおかしかったから直しておいたよ」と、そしてサービスがどんどん改善されていきます。
―今後のサービスの発展や展望はありますか。
直近だと全力でやろうとしているのは、不動産IDとさらにユースケースを広げた住所IDの構築です。日本には6,100万世帯あると言われています。それらの世帯住所にIDをつけることができたとしたらどういったイノベーションを起こすことができるのか・・・まだ、どれほど影響があるのか想像もできませんが、実現に向けて動いています。
まず住所IDができれば、犯罪防止ができる。
他にも、2020年には政府からの10万円交付がありましたが、デジタルで申請すると手書きの申込よりも遅れてしまうということがありました。あれは住所の名寄せに膨大な時間がかかったことが理由の一端だったと言われています。これも自動化できます。
そもそも住所にIDが無い状態という状態が異常なのかもしれません。
先の長いプロジェクトですが、実現させたいと思っています。
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