2019年04月05日
不動産企業の働き方改革

業界イメージから脱却できるか。ボルテックスの社内改革 前編

不動産企業の働き方改革

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世を挙げて働き方改革が叫ばれている。


なかでも不動産業界は人手不足が深刻で、効率のよい働き方を追求することが求められている。同時に人材獲得のためにイメージ向上が必要だ。


本企画は、世間一般の不動産業=高い歩合給と引き換えの過酷なノルマ、男性社会の上意下達の労働環境といった、一般に広まった業界イメージから脱しようとする企業を取り上げ、不動産業の新たな働き方について考える。


第1回目は、営業部署の体質改善、インセンティブ制度の見直し、営業方法の変更などを行い、積極的に改革に取り組んでいるボルテックスだ。



ボルテックス 人事統括部 人事部長 金井 勇一氏 撮影=リビンマガジンBiz編集部



9年連続売上増収が一転、前年期比100億円減。
痛みを伴った改革が始まった


ボルテックス(vortex)という言葉は、ラテン語のvertexに由来する。「頂点」「天頂」という言葉だ。転じて「回転するものの頂点」というニュアンスが生まれ、「渦巻き」「旋風」を意味するボルテックス(vortex)に変化したと考えられている。


業界に旋風(ボルテックス)を起こす


ボルテックス(東京・千代田区)は1999年の設立以降、「区分所有オフィス®」という同社が特許を取得したビジネスモデルをもとに、東京都内にある好立地の中規模オフィスを中心に区分販売している。


都心のオフィスは、高い賃料を安定して長期間にわたって得られる。値下がりしにくく、資産性が高いことから、法人が事業継続性の向上を目的として所有するケースも多い。


「100年企業」を標榜し、商品を買った法人の事業安定化を支援するという打ち出し方で、新たな顧客領域を開拓し、不動産投資業界に旋風を起こしてきた。


2008年の14億7,600万円だった売上は、2017年には669億9,100万円と、わずか9年で売上が45倍に急成長し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。しかし、2018年の売上は566億7,800万円と、100億円以上の減収となった。


好調に見えた企業に何が起こっているのか。そこに密着すると、痛みを伴いながらも大きく変わろうとしている企業の姿が見えてくる。


投資不動産の販売会社といえば同じような印象を持っている人は多い。営業が全ての中心の企業体制、ひたすら続く架電営業、恫喝まがいのハラスメント、際限無い残業時間、守られないコンプライアンス…、実際にこういった社風の企業は少なくない。しかし、そういった業界イメージからの逸脱を図る改革が、ボルテックスでは始まっている。


今回、人事統括部 人事部長 金井勇一氏に話を聞くことができた。




【金井勇一氏のプロフィール】

1971年生。大学卒業後、大手食品メーカー・大手製薬会社で人事責任者を担当。2017年7月、ボルテックス入社。



「原野か…。」新卒社員が定着しない環境


―金井部長は、これまで大手企業を数社経験されてから入社されています。ベンチャー企業への転身は何を期待してのことでしょうか。


私は、これまで人事畑で経験を積んできました。

前職の製薬会社では、これまで日本になかったスタイルの研究所を立ち上げるうえで、働き方や福利厚生などを始めとした制度の構築を行っていました。特に力を入れたのは福利厚生の部分で、会社としてはじめて託児所を設置したり、フィットネスジムを置いたり、自由度の高い食堂の提供なども企画しました。


製薬会社では、経営陣が外国人になったことで、社内がドラスティックに合理化され、アットホームな良い雰囲気がなくなったように思いました。違う方向に進み出した時期で、違和感を持ち、「もっと別の改革に取り組める会社はないか」と思っていたところ、ボルテックス・宮沢社長の本を読み、非常に共感したことがきっかけです。


「この会社はこれから改革をしていこうと考えていて、伸びる要素がたくさんある」と感じ、思い切って転職を決めました。



―教育・採用のプロフェッショナルがボルテックスに入社したと言えるかもしれません。


自分でプロフェッショナルと言ってよいかは分かりません。ただ、社会人になっての20数年間を人事で過ごしたものですから、人事での経験をより具現化できる企業を探していたのは間違いありません。


規模はまだこれから大きくなるところでも、これから伸びていこうという会社の方が、いろいろと活きる道があると思いました。



―実際に入社してどう感じましたか。


製薬会社の前は、食肉の大手メーカーにいました。今まで私がいた会社はいずれも名前が売れた、世界的な企業ばかりでした。


2017年7月、ボルテックスに入社したのですが、正直に言えば「原野に来た」という感じでした。


最初に参加した会議で、2017年に入社した新卒社員27名が、入社からわずか3カ月で10名も辞めていることを聞きました。また、既に辞めようとしている予備軍が3名いることも知りました。新卒社員の半分が凄いペースで辞めていることから、何かを変えなければいけないことを実感したのです。



―いきなり問題にぶち当たったのですね。


そこから、最初に新卒社員に対する「メンター制度」の導入を提案しました。


新入社員は、地方の支店から辞めていく傾向があった。原因を探ったところ、「無関心」というキーワードがありました。当社は、良くも悪くも放任主義で、自由に働かせてもらえる代わりに、レクチャーを受ける機会も少ない。


新入社員ともなると、そういった放任主義が「自分に関心がないのじゃないか」「必要ないのじゃないか」というメッセージなってしまっていました。


それであれば、「関心を持っているよ」ということを伝える必要がありました。それも、チューター(指導者)の立場にある人からではなく、会社として関心を持っていることを伝えなければなりません。だから、メンターには自分の部門外の方に就いてもらう形にしました。同部門や指示系統、ヒエラルキーからは、外れた方に、1人ずつメンターになってもらいました。



▶次のページ:インセンティブ制度を廃止、その意図とは(2ページ目)


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