不動産と相続

得意としている分野が「訳あり不動産」なんて掲げていることから、たとえ事件や事故によるものではなくても、持ち主が亡くなった後の不動産の売却のご相談をよくお受けします。

事件や自殺、もしくは孤独死なんて言うことじゃなく、持ち主さんが病気で病院で亡くなってしまい、自分はそこに住む予定はないので売却してほしいと、その亡くなった方の息子さんからのご相談、なんていうケースですね。

 

普通に病院で亡くなられたわけですから、これはもう事件、事故物件ではありません。売却予定不動産の価値を必要以上に下げてしまう「告知事項」は無し!で売ることができます。

 

でも、こういうケースでよく問題になるのは相続に関することです。

相続が発生した場合、相続人の方は「相続が発生したことを知った日から3か月以内」に相続の方法をどうするか決めなければなりません。決めるというのは、「相続の放棄か、単純相続か、限定承認するか」ということですね。(単純相続と限定承認の違いはここでは長くなるので説明は省きます)

また、「相続が発生したことを知った日から4か月以内」に税務署に申告が必要ですし、「10か月以内に」に税金の納付も必要です。

 

一方、相続登記については何も法令上の制限は原則ありません。だからというわけではないのですが、相続登記って結構行われていないことがすっごく多いです。

たしかに、相続をどのようにするかということ自体、相続人同士でもめてしまったり、特段もめたわけでもないけど、期限が義務付けられていないために、「まあ、わかってるけどそのうちやればいいや」的な発想で、そのままにされがちなんですよね。

 

でもこれは、いざ売るときになって大きな問題となる可能性があります。問題というか、要は、はっきり言うと、売るときに、すっごく面倒くさいことになってしまうわけです。

不動産の所有者の方が亡くなられた場合、特に遺言とかがなければ、相続人の方みなさんの同意さえあれば、どのように相続してもいいわけなんですが、その相続人の方がだれなのか、その調査が、はっきり言って面倒くさい!(すいません、仕事に面倒くさいはありえませんね、ごめんなさい)

そんなの司法書士に任せちゃえばいいじゃんなんて意見もあるかもしれませんが、司法書士の先生だって、複雑な場合は簡単にはいきませんし、仮に相続人さんを特定できたとしても、その数が10人を超えていた、とか、戸籍上はつながっていても実際はほとんど他人のようなもので連絡先もわからないなんてケース、結構あるんです。

 

先日もお父様が亡くなられたという方からのご相談をお受けしたのですが、物件の登記を調べてみると、確かに建物はそのお父さまの名義になっているけれど、土地の名義はお父様と、もうおひとり女性の名前の共有名義です。よくお聴きしたところ、その女性はお父様のお母さまにあたる方で、もう30年以上前に亡くなられているらしいのです。そうするとその女性の配偶者とお子さんたちが相続人となったうえでの二次相続ということになりますよね。

司法書士に相談して調査をお願いしたのですが、一か月ほどして先生から連絡がありました。「登記名義人の女性には7人の子供がいて、その子供たちの内2名はなくなられている、その亡くなられた二名には配偶者と子供も4人いる、登記名義人の女性には配偶者がいたがその方もその女性が亡くなった後に死亡していて、その方は前妻との間に2名の子供がいて一人はなくなっている・・・」そうすると、いったい誰が相続人で、何人いるんだ?

こうなっちゃうと、はっきり言ってもう無理ですよね。13名以上が相続人で、ほぼ他人のような連絡先もわからない人が含まれてて、これらの方から相続放棄の同意を得る?といっても、相続の発生を知った日からとっくに3か月以上は経過してるし・・・

 

相続登記は、いったんほったらかしちゃって、次の相続が発生すると、売却を試みる際に大変なことになるケースが多いです。高齢化社会が進んで、親が亡くなっても、「自分はそこにすまないし、とりあえずほっとくか」これがあとあと、後悔を招きますよ~。

相続が発生した場合は、ぜひ早めにご相談ください。

みなさんお気をつけて!


こんなケースも。

相続した借地権の売却の相談で行った先の建物には

壁がありませんでした。

事故物件じゃありませんよ。

この状態で住んでいた方が、「もう住めない。」

「家か外かわからない。」と

見ればわかるよね。

お早めに連絡くださいませね。

相談はこちらまで 住宅ローンのご相談はこちらまで

 

 
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