訳あり物件専門家 白石 麗花です。

不動産業を営みながら現役ナースをやってます。


白衣の不動産屋は他にはいません。

私くらいなもんだと思います。

そして、かつて学んだ心理学。

カウンセラー資格が仕事に役立っています。

~訳あり物件 ストックホルム症候群?~

売却しようとしている不動産に所有者以外の占有者がいる場合、

その占有者に出て行ってもらわなければなりません。

賃借権は所有権が移転しても優先されますが(投資用マンションに賃借人がいる場合、

退去せずにそのまま売却する、いわゆるオーナーチェンジはまさしくそのパターンです。)

正当な権利がないのに占有しているような場合は厄介です。


ストックホルム症候群?(訳あり物件:やみ金編)

 

婚約者と将来一緒に住むためにファミリータイプのマンションを購入した依頼者は、

婚約破棄により、お会いした時は(30代男性)単身で生活していました。

婚約破棄により傷心していた彼の生活は荒れ、

マンションの住宅ローンに加え、銀行のカードローン、消費者金融、

さらには闇金からもお金を借りていました。

当初は、一人で住むには広すぎるから売却したいということでしたが、

実は、多重債務で返済のめどが全く立たなくなってどうしようもないというのが真の理由でした。

彼の話をお聞きしながら売却の計画を立て、物件の中を見せてほしいとお願いしたところ、

中を見せることに躊躇がある様子です。

「その日はだめです」

「あいつにまだ言ってないから」と歯切れが悪く

新しい彼女でもいるのかしら?

そう思って、同居の方がいらっしゃるのですかと尋ねてみると、

「同居人じゃないけど…」とはっきりしません。

「彼女とお住まいですか?」とお聞きすると、

「男性ですよ。」と返答が。

歯切れの悪い受け答えに、

この人は男性が好きで、それが言いにくいのかしらと思いましたが、


「そういう趣味はありません」とぴしゃり。

その同居?している男性はいったい誰なのか、なかなか教えてくれなかったのですが、

物件の売却には告知してもらわないわけにはいかない。と話した結果、

驚くべき事実が彼の口から告げられました。

その同居している?男性の正体は、なんと、闇金の取立て担当者でした。

そして、さらに驚いたことは、闇金取立て担当者に給料の大半を渡しているにもかかわらず、

闇金担当者に対し、逆に信頼関係のような心情を持ち始めていました。

組織の中では下っ端なのか、定期的に依頼主男性から回収したお金を上に渡さなければならない立場にある

取立て担当者は、マンションを張り込みし、中に上がって脅しているうちに、そのまま居座るようになって

いたのでした。

お互いに何らかの共通点を見出し、共感しているうちに、奇妙な信頼関係が生まれたといった様子でした。

当初、私も途方にくれましたが、

相談者にマンションから引越してもらい、マンションを売却することに納得していただきました。

相談者の行方がわかないように住民票はそのままで引越していただき携帯電話も解約しました。


その後、取立て担当者が訪ねてくることはなかったそうですが

人の心理は興味深いです。

おかれた境遇や立場、環境によって、理解しがたい思考になります。

婚約者と別れたことで負った傷は誰かと一緒に居ることで癒えたのかもしれません。

お困りごとは相談ください

 
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