事故物件ではないけれど

訳あり物件専門家  白石 麗花です。

懇意にしていただいている弁護士より、

自宅とアパートの処分をしたいという方のご紹介をお受けしました。

敷地内の奥に居宅があり、

同じ敷地内の手前側にアパートとその居住者のための駐車場スペースがある物件。

物件を見に行く前に、弁護士さんから状況を聞かされていました。

「中で人が死んだわけじゃないので事故物件じゃないんだけど、なんか変なんだよね。」

 

弁護士さんがそういったことをおっしゃるのは珍しいなと思いつつ、お聞きしたその内容は、

極めて悲惨なもので、「これは何かあるな」と感じざるを得ないものでした。

 

弁護士さんからお聞きしたその内容は、

 

ご主人が長年の闘病生活の末、

お亡くなりになり、資産を相続した奥様から資産管理の委任を受けた。

その後、奥様は重度の認知症を患い入院生活をしていた。

ご夫婦には二人の子供がいたが、

長男は傷害罪で服役したのち、精神疾患を患い施設で療養中で重度の内臓疾患も併発している。

長女は、結婚したのちに離婚、その後自ら命を絶ってしまった

 

というのです。

 

弁護士さんとしては、入院中の奥様の成年後見人を選任し、

不動産を処分し、まだ少し残っている銀行からの借金を整理したうえで、

自殺してしまった長女の子供に財産を相続させて終わりにしたいという考えのようでした。

 

娘さんが自殺した場所は不動産とは関係ないところでのものでしたので、

弁護士さんは事故物件じゃないといわれたのですが、

これだけのことが続くと、どうしても私は物件自体に何かあるなと感じてしまいます。

物件を見に行ってみると、案の定、今まで見てきた事故物件によくみられる共通した物理的状況がありました。

 

居宅建物が、山やがけに向かって建てられている。

居宅裏手には川が流れている。

日当たりが悪くじめじめとした雰囲気。

アパートの建物がL字型に建てられている。

近くに鉄道が走っており、時折踏切音が聞こえる。

 

居宅もアパートも築年数が古く、アパートの入居者もいないため、

取り壊し前提の業者への売却になると考えましたが、

「これはこのまま売るわけにはいかないな」と感じました。

 

弁護士さんは、成年後見の手続きに相応の時間を要するからすぐにじゃないよ

とおっしゃっていたため、少しづつ処分のめどをつける準備をしてほしい程度の依頼だったのですが、

仲介業者としては、いくら対象不動産内で事故がないからと言って、

このまま次の買う買主さんへ売り渡すことはできません。

弁護士さんに、「かたちだけでも、お払いとご祈祷をしたうえで、売却活動をさせてください」とお伝えしました。

 

弁護士さんは、ちょっと笑いながらも、

「やっぱりそうですか。でもそのあたりのことは関知できないんでおまかせします。」と、

快くではないながらもご了承いただけました。

 

たとえ事故物件じゃなくても、そういった要素を持った不動産は存在すると私は思っています。

事故が起こっていない以上、重要事項説明に記載し説明することはありません。

せめてやれるべきことはやって、そのうえで次のかたへ引き継ぎたいと思います。

 

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