「隣の土地は借金してでも買え」

とは昔から言われることですが、薄給OLなワタシはそれを聞く度に「借金せずに土地家屋を買えるほどお金を持ってないんだけどな…」と哀しい気持ちになります。

ワタシが隣の土地云々というフレーズに馴染みがあったのは、昔は実家の隣接地が空き地になっていたからです。

家の広さに決して不足があったわけではありませんが、子ども達が成長したら自動車を停める場所がない(ひとり1台自動車必須の田舎の話)。

母の趣味である家庭菜園や園芸を思う存分できるほど面積のある庭じゃない。

そして、空き地を元気よく駆け回る飼い犬の姿を見ると「この土地が愛犬の専用ドッグランならどんなに幸せか…!」という妄想をせずにはいられなかったのですね。

結局、専用ドッグランの夢は潰え、数年後には家が建ちました。

なぜ実家がその土地を買わなかったかというと、最も大きい理由は今住んでいる土地家屋のローンが残っていたからです。

それもそうなんですけど、管理が大変だったというのもある。

勝手にドッグランにしている以上、雑草が伸びてきたらウチで草刈りをしていたのですが、それがまあ大変でした。庭としてちゃんと整備していればもう少し手入れはラクになったとは思うけど、管理すべき土地が倍増するというのは口で言うほど生易しいことではありません。

草刈りや掃除の問題だけでなく、もちろん固定資産税も倍増しますからね。

「子どもが大きくなったときに必要だよね」「生活がもっと楽しくなるよね」と夢を膨らませても、税金の支払いで暮らしが圧迫されちゃ意味がない。

無理して土地の代金も税金も払ったところで、隣の土地をその金額分有効活用できるかどうかも未知数です。

子どもが運転するようになる前に就学等で家から出ていくかもしれないし、走り回っていた犬も老いれば昼寝ばかりするようになる。そうなってしまったら「背伸びして買うこともなかったかなあ」と後悔する羽目になりそうです。

と、普通の住宅地で並みの収入の人なら「隣の土地を借金してまで買う」とまではなかなか至らないと思います。

しかし、土地の状況によっては頑張って隣の土地を買っておいた方がいい場合がある。

それは建物密集地域で、なおかつ自分の土地の形状があまりよろしくない場合です。

隣も自分の土地にすることによって日照や風通しが著しく改善され、自宅の増改築がしやすくなり、道路との接続がよくなるのであれば購入を検討する甲斐があります。

狭小の旗竿地だったのが広々とした矩形地となれば、将来売却する場合に高く売れる可能性があります。

ワタシの祖父母の家は田舎にあって、祖父母がそこに住まなくなったときに土地をどうするのか幼心にも心配でした。

頼まれても住みたくないような田舎だし、そのくせ寂れた商店街の真ん中に位置するせいで鰻の寝床のような細長い土地だし、売れないだろうと思っていたのですね。

ところが、お隣さんがいいお値段で購入してくれて、田舎の土地問題はあっさり解決しました。

祖父母的には昔からよく知る人に買ってもらって嬉しい。子どもや孫は田舎の土地の面倒から解放されて嬉しい。お隣さんは鰻の寝床な自宅を建て替えできて嬉しい。と、三方よしの取引になったのです。

ここまで丸く収まるかは時と場合によるので、いきなりお隣さんに売買の交渉をせずに不動産屋に様子を訊ねてみてくださいね。

 
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