司法書士の佐伯です。

3月になりました。

不動産関係の業界では一年で一番忙しい月になります。

司法書士でも不動産登記を多く扱う事務所では書き入れ時となりますね。

さて、以前書いた記事「不動産売買の司法書士は誰が決めるのか??業界ルールと裏話」の続編にもなるかもしれませんが、不動産売買での司法書士の指定に関することです。

簡単に復習すると、原則として、不動産売買の際に司法書士を指定するのは買主側です。

ただし、売主が建売業者の場合などは、契約の条件として売主側で司法書士を指定することが多いという内容でした(理由は以前のコラムを読んで下さい)。

一般個人が売主となる場合に、司法書士を指定することは基本的にありません。

買主側で指定した司法書士の売主側の手続きを任せることになります。

ですので、所有権移転の登記の際に売主として権利証や印鑑証明書を買主側で指定した司法書士に渡さなければなりません。

私も司法書士ですから、司法書士を信用して欲しいと思いますし、信用できると確信していますが、中には見ず知らずの人に重要書類を渡したくないという人もいます。

そういう人には、タイトルの「京都方式」という決済の方法が使えます。

「京都方式」とは、その名のとおり京都で生まれた方式で、今でも関西(大阪、京都)では普通に行っている方法らしいのですが、関東や他の都道府県では通常は取られていない方法です。

京都方式では、売主は売主側で司法書士を指定し、買主は買主側で司法書士を指定します。

ですので、決済の場には司法書士が2名立ち会うことになります。

申請は2名の司法書士が共同で申請、もしくは売主側の司法書士が買主側の司法書士を復代理人として、買主側の司法書士の名前で登記申請を行います。

ちょっとややこしく話してしまいましたが、要は司法書士をそれぞれで指定できるということです。

一般個人が懇意にしている司法書士というのはあまりいないでしょうが、前述のとおり知らない司法書士に重要書類を渡すことが気になる方は利用することが出来る方法です。

また、権利証を紛失している場合などでは、「本人確認情報」という代替手段があるのですがその際、司法書士による本人確認が行われます。

権利証を紛失していることに関して買主側に落ち度は無い訳ですから、この代替手段に掛かる費用は売主側で負担するわけですが、通常の決済方法だと買主側の司法書士にこの手続きを依頼することになり、費用も支払うことになります。

京都方式を使えば、自分のよく知っている司法書士にこの手続きを任せて、費用もその人に支払えばいいので納得しやすいかもしれません。

ただ、大阪、京都では当たり前の方式なのかもしれませんが、関東やその他都道府県では普通はやりませんし、私も大阪出身ですが、司法書士になった時には関東に住んでいましたので馴染みのない方式です。

こっちの不動産屋さんも多分知らないので、理解させるのに苦労するとは思います。

正直、かなりめんどくさがられると思います(笑)

でも、代理人を選択するのは、あくまで売主本人ですので、これを拒絶する理由はないと思いますので、どうしてもという方はこういう方法もありますよとういうことで情報提供させていただきました。

他にも、売主が遠方に居住していて、決済場所に来られないときに、司法書士が売主の代理人となって不動産売却手続きをするようなケースでも使えます。

登記申請自体は買主側の司法書士に任せますが、売主の本人、意思確認は売主側の司法書士が行います。

そうすれば買主側の司法書士も遠方の売主の本人、意思確認をしなくても大丈夫ということになります。

うちの事務所でも相続した不動産の売却代理を行う場合は、この方式を利用します。

でも、これは売主代理人が司法書士なので出来る方法ですから、一般の方が売主を代理する際は原則どおり買主指定の司法書士による売主の本人、意思確認は直接行われます。

関東ではあまり行われることのない決済方法ですが、ケースバイケースで便利に使える場面もあると思います。

 
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