みなさん、こんにちは。

「現役大家FP」の佐野です。

相続不動産の行方を考えるコラムの4回目(前回までをお読みになっていない方はコチラから)。今回は相続問題で土地を売る時の注意点を考えてみたいと思います。

前回の例に登場していただいたAさんが、もし建設業者の提案を受け入れず、土地を売るために不動産業者を訪れていたら、どんな展開になってでしょう。

きっと不動産業者からはこんな話があったはずです。

「これからアパートを建てるなんてとんでもない! 空室は増える一方で賃貸経営はとても成り立ちません。今のうちに土地を売って現金化して、お子さんたちに分割しやすいようにしておきましょう」

確かに分割のことだけ考えれば不動産よりも現金として持っていたほうがことはスムーズに運びます。しかし、この不動産業者の提案には一つ落とし穴があります。

それは、「同じ価値だとしたら現金のほうが不動産より相続税評価額が高い」ということです。相続税評価額が高いということは、即ち相続税の負担が重くなるということです。相続税のことを考えれば、その土地は今売るのではなく、相続が発生した後に売却するという選択肢も出てくるはずです。

それにも関わらず、不動産業者から「今売りましょう」という提案が出てくるのはなぜでしょうか。それは建設会社と同じく、彼らの「利益構造」を考えればその答えは明らかです。

不動産業者の儲け所は、売買を仲介することによって得られる手数料、あるいは転売による売却益です。いずれにしろ不動産業者としてはAさんに土地を売ってもらわないことには話になりません

しかも売るタイミングは「今」です。子供たちの代まで待っても案件が自分のところに来るとは限りません。建設会社の提案が「アパートを建てることありき」であったように、不動産業者の提案は「土地を売ることありき」なのです。

そんな彼らの言葉を鵜呑みにすると、土地を売るタイミングを間違えてしまうかもしれません。それどころか、十分に収益物件として成り立つ土地さえも、手放すことになってしまうかもしれません。

            

さあ、困りましたね。これでは建設会社にも不動産業者にも相談できません。

実は私がファイナンシャルプランナーとして相談を受ける時、お客様から「誰に相談すれば分からないので来ました」と言われることがあります。中には相談する先によって正反対のことを言われて困惑している方もいらっしゃいます。

そんな時、私は「あなたが何をしたいかを決めることが大切です」とお話しします。そして、「何をしたいかが決まれば、自ずと相談相手は決まってきます」と付け加えます。

さて、それはどんな意味でしょうか?

次回の最終回で、別の実例を交えてご説明します。

 
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