税理士の澤田美智です。

不動産所得節税ガイド  ① 減価償却費 新築の場合

減価償却費って何?

不動産所得の節税を考える場合、減価償却に対する理解は不可欠です。

では「減価償却」って、一体何なのでしょうか?

不動産を購入すると、当然お金が必要です。キャッシュで支払うか、借入金に

よって賄うかは関係ありません。

この建物の購入費用は経費となります。当然、家賃収入を得るために購入した

訳ですから、仕入れと同じですよね。

ただ、通常の事業であれば、仕入金額を経費として処理し、売上金額を売上と

して計上するのですが、不動産所得の場合には、この建物の購入費用を一括で

経費計上するのではなく、その建物の耐用年数によって、少しずつ経費計上し

ていかなければなりません。

通常、減価償却費はキャッシュアウトのない経費、という風に理解されていま

すが、実際には違いますよね。ただ単に、先払いした経費を少しずつ経費にし

ていってる、ということになります。

借入金の返済金額が経費にならないのはなぜ?

よく、あまり税金に詳しくない方からお叱りを受けるのですが、「借入金を

返済しているのになぜ返済金額は経費にならないの?」という疑問です。

借入金で購入しても、キャッシュで購入しても、建物の金額は変わりません。

もちろん、借入金で購入した場合には、支払利息を余分に支払わなければな

りませんので、結果的には購入金額は利息分高くなります。その分、支払利

息は経費処理されます。

では、本体の購入金額はどのように経費化されるのか?

それが、「減価償却」ということになります。

減価償却費で経費になっているのに、借入金をさらに経費とすると、同じ建

物について二重に経費化することになってしまいます。だから、借入金は経

費にはならないのです。

減価償却の改正

減価償却資産のうち、平成10年4月1日以降に取得した建物については、定額法

で償却しなければなりません。

更に、平成28年4月1日以降に取得した建物附属設備・構築物についても、定額

法しか認められなくなりました。

ただ、これ以外の資産は、ほとんどが定率法での償却が可能です。

定額法とは、毎年の償却額が同じになる償却方法で、定率法とは、残存価格に償

却率を掛けて計算しますので、最初の年度が償却費が大きく、年数がたつにつれ

て償却費が減少していく償却方法です。

つまり、定率法を適用して計算するほうが、当初の税金が安くなり、その分キャ

ッシュが残る、ということになります。

建物を購入した時に重要なこと!

建物を購入して、最初の確定申告で減価償却費の計算をしますので、この確定申

告が非常に重要になります。

建物の建築費には、建物本体の価格だけではなく、附属設備(電気設備やガス設

備等)や構築物(塀や門やアスファルト等)その他の備品(ポスト等)があります。

これらを、建築明細書等によりできるだけ細かく分ける、ということです。

建物の耐用年数は、鉄筋コンクリートであれは、47年です。附属設備は概ね15年

です。

構築物もほぼ15年です。

これだけ耐用年数も違いますので、細かく分けて申告をした方が減価償却費を大

きくできるわけです。

改正がありましたので、残念ながら、附属設備・構築物について定率法での償却はでき

なくなりましたが、それでも減価償却資産を細分化することにより減価償却費を増加さ

せることができます。(耐用年数が短くなりますので)その分、税金が安くなり、将来

の修繕費等に備えることができます。

建物を新築したり新たに購入された方は、ご注意を!

 
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