2017年03月27日
下村篤史

不動産業界の労働判例(内々定取消)

下村篤史

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3月も終わりに近づき、東京で桜が開花したと思ったら、また急激に寒くなってしまいました。

4月から新社会人となる方々にとってはこの時期、卒業旅行等で最後の学生生活を満喫していることでしょう。

そんな楽しい生活に水を差すつもりはありませんが、

入社直前になって内定が取り消されるということも少なからずあります。

今回は不動産会社による内々定取消しについて争われた判例のご紹介です。

 

まず事件の概要ですが、

当時大学4年生だったXは、不動産売買会社Yから採用の内々定を受けていましたが、

予定されていた採用内定通知書授与の日の直前に取り消されたため、

損害賠償と慰謝料等の支払を求めたというものです。

 

では事件の内容をご紹介します。

平成20530日、Xは、Yから採用内々定の通知を受け、

翌日、採用日を平成2141日とする入社承諾書に記名押印し返送しました。

また、内々定を受けていた他の企業及び選考途中の企業に連絡し断り、就職活動を終了しました。


平成207月、Yは、Xを含む内々定者向けの説明会を行い、業績不振ではあるが様々な経営再建策を講じており、

当該内々定者らに対する採用は維持すると明言しました。

しかし、翌月、世界的金融危機のリーマンショックが起こり、

Y取締役会において、内々定者に対する採用見直しを含めた経営再建策が検討され始めました。


平成20925日、取締役会の動きを知らないYの社員が、Xに対し、

内定式は行わないが採用内定通知の授与を平成20102日にYの事務所で行うことを電話にて通知しました。


平成20929日、決算の結果、業績予想を大幅に下方修正せざるをえなくなったYは、

「採用内々定の取り消しのご連絡」という文書をXに送付しましたので、

翌日、XはYに電話で事情を確認しようとしましたが、書面の通りと言うだけで詳細な説明はされませんでした。

XはYに対しメールでも抗議しましたが、Yからは一切連絡はありませんでした。

その後、Xは平成214月になっても就職先が決まりませんでした。

そこでXは、裁判で約380万円の損害賠償をYに請求、高裁の判決でYに55万円の支払いが命じられました。


これまでの裁判例により内定は始期付解約権留保付労働契約と言われています。

一般的に41日から効力が生じ(始期付)、卒業できなかった場合等は解約できる(解約権留保付)というものです。

上記の事件は内々定の取消しについて争われたものですが、

会社の内々定取消に至った経緯の説明不足や、

内定直前であったことなどから信義則違反として損害賠償が命じられました。

不動産業界に限ったことではありませんが、業績の見通しの精度を高め、採用計画も慎重に行う必要があります。

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