2017年03月29日
下村篤史

不動産業界の労働判例(懲戒解雇)

下村篤史

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前回に引き続き不動産業界の労働判例をご紹介します。今回は懲戒解雇に関する話です。

事件の概要は、

建物建築請負・不動産売買・不動産仲介等を業とする会社Yに雇用され、営業に従事していた労働者Xが、

同業他社を実質的に経営したこと、

金銭上の不正を行っていたこと、

3度にわたる呼び出しに応じなかったこと等を理由に解雇されたため、

その解雇は無効であるとして争った事件です。(平成11329日大阪地裁判決)

 

結論から先に述べますと、判決は労働者Xの訴えを棄却し、解雇を有効としています。

まず、同業他社を経営していたことについて、

Xは他社で働いていたCとともに株式会社Aおよび株式会社Bを設立し、

不動産の売買、仲介、賃貸及び管理業等を行っていました。

Xは、AおよびBへの出社は不定期でしたが、

判決では、

「Yの社員として職務上知り得た情報を利用して私的な利益を取得したものと推認される」

とされています。

 

また、Xは冷凍倉庫の建築工事において、

10億円で請け負わせたD工務店から、

B名義で領収書を発行するなどして約900万円のリベートを取得したとされています。

 

Xは、本件解雇が、

言うべきことは言うという行動をとってきたXを社外に排除しようとの動機からなされたものであり、

また、告知、聴聞も全く経ずに行われたものであって、解雇権を濫用するものであると主張しましたが、

YはXから3回事情聴取し、さらに3回行おうとしましたがこれにはXが応じませんでした。

これらからXの主張は通らず、解雇無効の訴えは棄却されました。

 

常識的に考えると、「ここまで好き勝手にやって裁判を起こすなんてXも図々しい」と感じられるでしょうが、

会社が労働者を最も重い懲戒処分である解雇とするのはなかなかハードルが高く、

裁判ではかなりの数で会社側が敗訴しています。

会社としては解雇をしようとする際は慎重に、

労働者としては会社に不利益となるようなことをしないように気を付けたいものです。


なお、懲戒処分を適正に行うためには、次の4つの要件が必要ですのでご参考にしてください。

①懲戒の種別および事由を就業規則に定めてあること

②懲戒事由に該当すること(合理性)

③労働者がやったことに対して罰が重過ぎるということなく、社会通念上の相当性を有すること(相当性)

④労働者に弁明の機会を与えること

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